Research Abstract |
1,メラノサイトの分化のマーカーであるtyrosinase,tyrosinase related protein 1および2(以下,TRP-1,TRP-2)と,c-kitとの関連について、培養神経冠細胞をもちいて酵素抗体法により蛋白レベルで比較検討した。 2,野性型マウスであるC57/B16マウスをもちいた。妊娠9.5日の胎仔を摘出し,胴体部分を切除,トリプシン処理後ピペッティングにより神経管を分離した。この神経管をTPAとコレラトキシンを加えた条件下で培養し,培養3日目,6日目,9日目に固定した。固定後,c-kitに対するモノクローナル抗体であるACK-2をもちいて、酵素抗体法によりその発現を検索した。また,tyrosinase,TRP-1,TRP-2に関しても同様に,その発現を検索した。我々は既にこの培養系でc-kitの発現に遅れてDOPA陽性細胞が出現することを確認している。 3,(1),c-kitの発現は,培養3日目よりみられる神経管由来の細胞の一部に確認された。培養6日目では陽性細胞の増加が認められ,培養9日目では陽性細胞の増加とともに,樹枝状の形態を有する陽性細胞が認められた。また,肉眼的melanizationは培養6日目より認めた。 (2),tyrosinaseの発現は,3日目ではみられず6日目より認めた。 (3),TRP-1の発現は,tyrisinaseとほぼ同様で培養3日目よりみられた。 (4),TRP-2の発現は,培養3日目よりみられ,c-kit陽性細胞とほぼ同様の形態を有していた 4,in vitroにおける,酵素抗体法をもちいた蛋白レベルでの今回の検索では,TRP-2,c-kitの発現が先行して認められ,Steel factorおよびc-kitによる情報伝達が,メラノサイトの分化に影響する時期は初期段階である可能性が示唆された。
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