1995 Fiscal Year Annual Research Report
局所脳血流量からみた感情障害の病態に関連する神経回路網の解明-冠状断面、矢状断面による辺緑系の検討-
Project/Area Number |
07770772
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小倉 淳 山形大学, 医学部, 助手 (20261696)
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Keywords | うつ病 / 局所脳血流量 / 9^<9m>Tc-HMPAO |
Research Abstract |
本研究の目的は、1,うつ病の状態あるいは素因依存性に関連する脳部位、2,制止などのうつ病の症状と関連する脳部位、3,抗うつ薬の脳血流への影響を、辺緑系に焦点を当てて検討することであった。Tc^<99m>-HMPAO法SPECTを用いて脳血流量の測定をおこない、局所脳機能の作動性を評価し以下の結果を得た。1,うつ病群(n=12)の平均半球脳血流量は、うつ病期に対照群より有意に低く、寛解期は増加傾向を示した。部位別では、右外側下部前頭部、両側の外側側頭部、右頭頂部などの血流量の変動が顕著であった。うつ病期・寛解期共に対照群との差異を認める部位はなかった。矢状断面スライスを用いて評価した帯状回を含む内側前頭部は、うつ病期に対照群より低く、寛解期に増加傾向を示した。海馬長軸平行スライスを用いて評価した海馬・扁桃体を含む内側側頭部の脳血流量は、対照群との差異を認めなかった。以上よりうつ病の素因依存性に関連する脳部位は認めないが、上述の部位の状態依存的な機能低下がうつ病の病態に関与することが脳血流測定から明らかになった。 2,ハミルトンうつ病評価尺度の総得点は、平均半球血流量と有意な相関は認めなかった。下位項目では、抑うつ気分はうつ病期の前頭部などの血流量およびその変動率と有意な負の相関、視床は精神運動制止症状と負の相関を認めた。これらの部位とそれぞれの症状との関連が示唆された。 3,寛解期断薬後、脳血流量測定の同意を得ることが出来た症例はなかった。うつ病期と寛解期で治療薬をほぼ一致させた今回の検討で、症状軽快により脳血流量低下が改善したことから推察すると、抗うつ薬の脳血流に対する影響は小さいものと考えられた。
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