1995 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン非依存型糖尿病における自己免疫機序の関与について
Project/Area Number |
07770837
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
松本 千明 自治医科大学, 医学部, 助手 (60265254)
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Keywords | インスリン非依存型糖尿病 / インスリン依存型糖尿病 / HLAクラスII抗原 / 抗GAD抗体 |
Research Abstract |
インスリン依存型糖尿病(IDDM)は自己免疫機序による膵β細胞の破壊によるインスリン分泌の枯渇がその基本的病態とされており、HLAクラスII抗原遺伝子との関連、抗GAD抗体を初めとする自己抗体の存在が認められている。一方インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)において、血糖上昇の原因がIDDM同様インスリン分泌低下によると思われる症例(インスリン使用例でインスリン導入時肥満のないもの)について、HLAクラスII抗原遺伝子のタイピングと抗GAD抗体を測定することにより、NIDDMにおいても、その発症における自己免疫機序の関与の有無を検討した。対象は発症後3年以降の食後2時間血清CPRが1.0ng/ml以上で、インスリン導入時body mass indexが22.0kg/m^2以下の糖尿病症例21例とインスリン非使用NIDDM127例、対照270例。全例に対しHLAクラスII抗原遺伝子のタイピングを行い、抗GAD抗体については糖尿病症例についてのみ行なった。HLAクラスII抗原遺伝子についてはHLA-DRB1サブタイプを含めた検討を行なったが、NIDDM(インスリン使用の有無にかかわらず)と対照で有意の差は認めなかった。抗GAD抗体はインスリン使用NIDDM16例で2例陽性(12.5%)、インスリン非使用NIDDM41例で5例に陽性(12.2%)であったが、インスリン使用の有無で陽性率には有意な差は認められなかった。以上より、NIDDMにおける抗GAD抗体の出現により、NIDDMの一部に症例における自己免疫機序の関与が示唆されたが、今回の検討ではHLAクラスII抗原遺伝子の関与については否定的と考えられた。
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