1995 Fiscal Year Annual Research Report
生体肺微小循環観察法を用いた腫瘍血管と細胞障害性T細胞との相互作用
Project/Area Number |
07770931
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小長谷 一郎 東京大学, 医学部附属病院(分), 助手 (10262130)
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Keywords | 肺癌 / 微小循環 / 白血球 / 腫瘍血管 |
Research Abstract |
我々は昨年度、生体肺微小循環観察と肺腫瘍組織観察とを併用し、腫瘍への白血球の浸潤を観察した。 実験モデルの作成においては、ラット腹腔内にて腹水のかたちで佐藤肺癌を経代培養していたが、不確実であった。これは、腹水を注入する形でなく、担癌ラットを開腹し、その腹腔内固形腫瘍部を採取し、これを新たなラットの腹膜を擦過した後に縫着することにより1週間後には確実に癌性腹膜炎ラットを得ることが可能となった。 しかし、摘出ひ臓と腫瘍細胞との混合培養は試みるもうまくいかず、腫瘍特異性細胞障害性T細胞は得ることができなかった。 そこで、癌性腹水を尾静脈より注入することにより得た肺癌ラットに対し、落射型蛍光顕微鏡を用い、アクリジンレッドを持続注入しつつ、肺腫瘍微小循環を観察すると同時に、OK432を注入し、白血球の動態の変化を観察した。その結果、正常肺毛細血管に比し、腫瘍毛細血管には白血球は付着しなかった。しかし、腫瘍毛細血管より血流を受ける細静脈においては、正常の細静脈より多数の白血球が付着しているのが観察された。一方、OK432の注入により、腫瘍毛細血管にもわずかに白血球の付着を見、腫瘍より血流を受ける肺細静脈にはより多くの白血球の付着を見た。以上のことより、腫瘍内通過にあたり白血球は活性化されるが、腫瘍肺毛細血管の性質により付着できず、流出細静脈に付着するが、OK432投与により、さらに白血球を活性化することにより、腫瘍毛細血管への白血球の付着は、ある程度改善されることが示唆された。 組織像では、OK432投与群において、より多くの腫瘍への白血球の浸潤を観察できた。
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