1995 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアに選択的に集積する脂溶性陽イオンの抗腫瘍剤としての有用性
Project/Area Number |
07770949
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千葉 洋平 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10255474)
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Keywords | DLC |
Research Abstract |
脂肪親和性陽イオン(Delocalized Lipohilic Cation,DLC)は電位差に従い,より負電位の高い腫瘍細胞ミトコンドリアに選択的に集積し細胞障害を起こすことが知られている.今回我々はin vitro,in vivoにおけるDLC化合物FJ776の抗腫瘍作用および毒性を検討した。【材料と方法】in vitroではヒト癌培養細胞株(MKN45,MKN74,Colo205,WiDr,C1,HT29,CRL1420,LS174T)および担癌症例より得られたヒト脾細胞(n=10)を用いてgrowth assayを行いMTT判定により50%抑制率(IC50)を算出した.ヌードマウス可移植性ヒト腫瘍株(MKN45,Co-4,HT29,LS174T)をマウス側背部皮下に移植し,腫瘍が一定の大きさに達した時点で以下の治療を行った(各群n=5).(1)FJ776,3.75または7.5mg/kg/day隔日14回腹腔内投与(ip)群,(2)FJ776,7.5mg/kg/day連日14日間ip群,(3)皮下埋没型浸透圧ポンプによるFJ776,7.5,20,30,40mg/kg/dayの7または14日間持続皮下投与(sc)群.抗腫瘍効果の判定は生存期間およびT/C比よりおこなった.【結果】ヒト脾細胞のIC50が47.10±12.44μg/mlであったのに対し,培養細胞株におけるIC50は2.0〜10.1μg/mlに分布し,最大約30倍の選択毒性が示された。FJ776のin vitro抗腫瘍効果はAUCに依存していた.in vivo,MKN45に対するFJ776,7.5mg/kg/day隔日ip群は対照群に比して生存期間の延長を示した.Co-4に対しては連日ip群が抗腫瘍性を示さなっかたのに対し,持続sc群は最小0.58のT/Cを示した.HT29およびLS174Tに対してFJ776持続sc群は用量依存的な抗腫瘍効果を示し,本投与法における最大耐容量20mg/kg/dayと推定された。【考察】FJ776のin vitro抗腫瘍性はACUに依存し,in vivoにおいても持続投与法が優れた抗腫瘍性を示すことが示された.
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