1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝阻血再灌流障害における肝カルシウム代謝の一酸化窒素(NO)発現に及ぼす効果
Project/Area Number |
07770985
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
内田 正昭 島根医科大学, 医学部, 助手 (60263521)
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Keywords | 肝阻血再灌流障害 / Nitric Oxide / FK409 / 肝組織微小循環 |
Research Abstract |
1)多彩な生理活性を持つ一酸化窒素(Nitric Oxide;NO)が、肝阻血再潅流障害に対してどのように関与しているかを検討するために、1989年に開発されたNO発生剤で、強力な血管拡張作用と血小板凝集抑制作用を併せ持つ、FK409を使用し以下の方法で現在実験中である。 2)SDラット(400g)の60分常温下肝阻血モデルを用いて、FK409を再潅流直前に投与した群と対照群について検討した。 上記2群において、肝阻血前、阻血直後、再潅流直前、再潅流直後、再潅流後30分、60分、90分、120分、180分、360分の時点で、平均血圧と肝組織微小循環血液量を測定すると、対照群と比較してFK409投与群では、再潅流後の肝組織微小循環血液量が明らかに改善した。これはNOが肝阻血再潅流障害に対して保護的に働く可能性があることをを示唆している。また,阻血前、再潅流直前、再潅流後1、3、6時間の時点で動物を犠牲死させ、血液及び肝組織を採取し、NO生成の指標として(a)血清中NO代謝産物、(b)肝組織中c-GMP生成量の定量、また肝障害の指標として(c)静脈血中GOT、GPT、LDHの測定、(d)肝組織の光顕像の評価を行っているが、現時点では、n(動物数)が少ないせいもあり、有意差は得られていない。さらにfreeradical生成の指標として(e)肝組織中MDAの定量を行う予定である。NOの代謝産物である亜硝酸塩、硝酸塩の測定はGriess法を用い、肝組織中c-GMP生成量の測定にはc-GMP ElAkitを用いて現在測定中である。 3)FK409を用いてNOを発生させることにより肝阻血再潅流障害が軽減されることが示されつつあり、今後同様の実験解析を進める予定である。
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