1995 Fiscal Year Annual Research Report
胆道癌における肝転移および腹膜播種に関与する生物学的特性の解明
Project/Area Number |
07771005
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 亮孝 岩手医科大学, 医学部, 助手 (50265146)
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Keywords | 胆道癌 / epidermal grouth factor receptor / c-erbB-2 protein / nm23 / nucleoside diphasphate kinase / immunohistochemistry / 腹腔洗浄細胞診 |
Research Abstract |
胆道癌における肝転移および腹膜播種に関与する生物学的特性の解明を目的として検討を行い、以下の結果を得た。 1.胆道癌における増殖因子・レセプター系および癌抑制遺伝子産物nm23/NDP kinaseの検討。 胆道癌45例を対象としepidermal growth factor receptor (EGFR)およびc-erbB-2蛋白の組織内発現を免疫組織学的に検索した。その結果、EGFR陽性例は陰性に比べ有意に予後不良であった(p=0.04)。また臨床病理学的諸因子ではリンパ節転移陽性例が陰性例に比べ有意に予後不良であった(p=0.02)。以上より、胆管癌において組織EGFRの発現は、リンパ節転移と同様に予後因子となり、生物学的悪性度の指標としての意義を有することが示唆された(日臨外会誌投稿中)。 次に、胆管癌54例を対象としnm23の2種類のアイソフォームの発現について検討した。nm23-H1の発現率は79.6%、H2 85.2%と高率であった。nm23の発現と臨床病理学的因子では、十二指腸浸潤陽性例で有意にnm23-H1の発現が低下していたが深達度、リンパ節転移、膵浸潤では有意の差を認めなかった。予後との関係ではnm23-H1、H2ともに有意の差を認めなかった(p=0.79、p=0.63)。術後肝転移の関係では肝転移症例のnm23-H1、H2ともに3年以上無再発健存例、5年以上無再発症例と比べ有意の差を認めなかった。以上より、胆管癌においてはnm23の組織内発現はリンパ節転移、予後および肝転移とは明らかな関連は認められなかった(日消会誌28: 1703-1707、1995)。 2.潜在的腹膜播種の検出について。 現在まで43例の膵・胆道癌手術症例に対し術中腹腔洗浄細胞診を施行したが、癌細胞陽性(group V)は3例のみでいずれも肉眼的に腹膜播種の認められた症例であった。
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Research Products
(1 results)