1995 Fiscal Year Annual Research Report
開腹術と内視鏡下手術が術後の免疫抑制に及ぼす影響の比較とその機序に関する研究
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07771023
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
河合 敬雄 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (40247367)
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Keywords | 手術侵襲 / 細菌感染 / Meth A / TNF / 肺転移 / 開腹術 / サイトカイン / IL-6 |
Research Abstract |
開腹術の種類、大きさ、開腹時間により生体の免疫能がどの程度影響を受けるかを明らかにし、また、この機序を解明することを目的とした。 5週令の雄性ddYマウスを用いて0.5cm,1.5cm,3cmと大きさを変化させて腹部正中切開し、2時間後に閉腹し、その閉腹直後に黄色ブドウ球菌(St. aureus smith 3×10^8)を尾静脈より投与して、その体重の変化と生存率を観察した。また同様の方法で3cmの腹部正中切開の後、閉腹までの時間を30分、1時間、2時間と変化させて先と同様に細菌を投与して体重と生存率を観察した。その結果、開腹創の大きさで0.5cmと3cmの間に生存率で有意差を認めたが30分と2時間の間には統計的有意差はみられなかった。また、体重の減少も開腹創による影響の方が強かった。また、0.5cmと3cmで2時間開腹群と3cmで0,2,4,8,24時間後の静脈血、肝臓、脾臓、肺を採取しIL-6,TNF活性を測定するべく検体の採取を終わり現在測定中である。 また、BALB/cマウスを用い3cm2時間開腹し開腹直後にMeth-A fibrosarcomaを1x10^8個を尾静脈より移植し、21日後の肺転移数を計測したところ、開腹群54.3個、非閉腹群37.4個と開腹群で優位に転移形成が促進していることが確認された。現在、細菌感染モデルと同様に開腹のサイズを変えて実験中である。以上の実験により、開腹が生体防御能に与える影響は大きく、特に開腹創の大きさが強く影響していることが感染モデルで確認された。また、転移モデルは現在進行中であるが開腹により転移が促進することも確認された。さらにそのメカニズムとして局所のTNFの産生が何らかの影響を与えていることはすでに今までの基礎実験にて確認しており今回のTNF,IL-6のデータによりさらに仮説を進めるべく検討中である。
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