1995 Fiscal Year Annual Research Report
核DNA量と増殖関連因子発現度からみた肺癌悪性度と化学療法有用性の検討
Project/Area Number |
07771057
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山本 達也 帝京大学, 医学部, 助手 (30230569)
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Keywords | 肺癌 / 予後因子 / 増殖因子 / FGF / FGF-R / DNAploidy / mRNA |
Research Abstract |
肺癌の生物学的悪性度を把握することは容易ではなく、TNM分類に基ずく病期分類では十分ではない。本研究では肺癌の浸潤・増殖能を直接反映しうる因子として、線維芽細胞増殖因子(Fivroblast Growth Factor,以下FGF)とそのレセプター(以下FGF-R)の肺癌における発現と、病理組織学的因子・DNAploidyならびに予後との関係を検討し、予後予測因子としての有用性を検討した。 根治切除手術が行われ予後の判明している肺腺癌90例を対象とし、これらのパラフィン包埋切片を用い、免疫組織学的手法によってFGFとFGF-Rの発現を調べた。また、同じ組織のPropidium Iodine蛍光染色単離細胞試料を作成し、flowcytometryによって核DNA量を測定した。FGFおよびFGF-Rの発現ならびにDNAploidyと予後の関係、それぞれ因子の相関性を検討した。その結果、(1)FGFとFGF-Rはともに病期・リンパ節転移およびDNAploidyと有意に相関した。(2)FGFとFGF-Rの発現性は予後と相関した、(3)多変量解析では、FGFとFGF-Rの発現性は組織分化度・病期・DNAploidyとともに独立した予後因子であった。以上より、FGFとFGF-Rの発現性は肺癌予後予測因子として有用であるとの結論を得た。 また、FGFおよびFGF-Rの転写・発現とDNA量の関係を明らかにすることは、肺癌の増殖調節機構の一端を解明し、より正確な悪性度の把握と有効な治療法の開発の一助となると期待できる。肺癌新鮮凍結標本を材料に、Nouthern blottingによってFGFおよびFGF-RのmRNAの発現増幅を確認したので、解析検討を加えてゆく予定である。
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