1995 Fiscal Year Annual Research Report
難治性側頭葉てんかんモデルにおける苔状線維発芽および神経受容体の電顕病理学的研究
Project/Area Number |
07771076
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
吉田 克成 旭川医科大学, 医学部, 助手 (10250581)
|
Keywords | Electron microscopy / Kainic acid / limbic seizure / Autoradiography / Benzodiazepine receptor / dendritic synapse |
Research Abstract |
我々は扁桃核カイニン酸注入てんかんモデルを使用して1)苔状線維発芽、2)受容体について電顕を中心に病理学検討を行なった。 1)歯状回苔状線維の発芽すなわち顆粒細胞の軸索である苔状線維が新たに連絡を行う部位である歯状回顆粒細胞の樹上突起基部(内分子層)およびCA3錐体細胞の樹上突起においては、苔状線維は新生シナプスを形成していた。歯状回の中、外分子層における樹状突起における苔状線維シナプス以外のシナプス密度に関しては、一旦減少した樹上突起シナプスがを再び増加する傾向がみられた。 2)抑制系受容体の一つにGABA_A受容体と複合体を形成する中枢型ベンゾジアゼピン(BZ)受容体がある。電子顕微鏡レベルのマイクロオートラジオグラフィーを用いて受容体の局在、密度の変化の検討を計画した。これに先立って光学顕微鏡レベルのオートラジオグラフィーを行った。実験には、125ヨードでラベリングした抑制系BZ receptor ligandである125I-Iomazenilを使用し、受容体結合の変化を経時的に検討した。電子顕微鏡レベルのオートラジオグラフィーに関しては実験手技的な問題を残し、現在のところ十分な所見が得られていない。文献上の報告では歯状回ではGABA性抑制が減弱しているとの立場をとるものが多いが、我々の行ったGABA/BZ受容体結合の変化としては、むしろ歯状回顆粒細胞層から分子層にかけて結合は増加していた。この変化とてんかん原性の獲得に関するメカニズムは現在検討中である。以上の件に関しては、1995年7月京都で開催された神経科学世界大会サテライトシンポジウムで発表、1995年10月の日本てんかん学会でも報告した。
|