1995 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍におけるMAGE-1癌退縮抗原の同定とその臨床応用
Project/Area Number |
07771130
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
丸岩 光 久留米大学, 医学部, 助手 (30219547)
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Keywords | 癌退縮抗原 / 脳腫瘍 / グリオーマ / MAGE-1蛋白 |
Research Abstract |
申請者らは本学脳神経外科において手術摘出された脳腫瘍18例とグリオーマの培養細胞株20例よりRNAを分離し、RT-PCR法とMAGE特異的プライマーを用いてMAGE-1,-2,-3,-4,-6の発現の有無を検討した。培養細胞株20例においては各々75%、40%、65%、10%、75%の発現率を示したが、手術摘出された脳腫瘍においては発現が認められなかった。 さらに、手術摘出された脳腫瘍28例とグリオーマの培養細胞株20例においてMAGE-1,MAGE-4抗体を用いて蛋白レベルでの発現を検討し、各々にMAGE-1(54%)、MAGE-4(21%)、培養細胞株ではMAGE-1(25%)、MAGE-4(5%)の発現率であった。また、手術摘出された脳腫瘍をグリオーマ(14例)と非グリオーマ(14例)に分けて発現率を比較してみると、MAGE-1蛋白は、非グリオーマの21%に比べグリオーマに86%と高く発現していることが明らかになった。また、手術摘出されたグリオブラストーマ1例に対してMAGE-1抗体を用いた免疫組織染色を行ったところ腫瘍細胞の細胞質内にMAGE-1蛋白が発現していることが確認された。MAGE-4に関しては、手術摘出された脳腫瘍5例とグリオーマの培養細胞株3例を用いてELISAを行い、各々2例と1例にMAGE-4蛋白が検出された。 手術摘出された脳腫瘍18例でRT-PCR法においてMAGE遺伝子の発現が認められなかったことには種々の理由が考えられる。しかし、蛋白レベルにおいて手術摘出された脳腫瘍の中のグリオーマにMAGE-1蛋白が高率に発現していることが認められた事より、MAGE-1蛋白はグリオーマの特異的免疫療法の標的分子に成りうることが示唆された。
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