1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07771179
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
加藤 謙二 順天堂大学, 医学部, 助手 (30204465)
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Keywords | プログラム細胞死 / 異常肢誘発マウス胎仔肢芽 |
Research Abstract |
正常例では胎生11.0〜11.5日の中心部静脈洞近位、10.5〜13.0日のAER (apical ectodermalridge)、11.5日の深部中枢葉fpp (foyer preaxial primaire)、12.0〜13.0日のfml (foyer marginal I)及びfmV (foyer marginal V)、13.5〜14.5日の指間中胚葉及び指間上皮にProgrammed Cell Death (PCD)の出現がみられたが、5-FU投与群ではAERのPCDの発現遅延、fppのPCDの範囲縮小がみられた。 AERはその直下の中枢葉を誘導することが知られているが5-FUによる細胞障害に対する修復反応としてAERのPCDが制限されてAERの退縮が遅れ、その直下の中枢葉を過剰に誘導するために、fpp、fmlのPCDが起こらずにその結果軸前側の過剰成分から多趾が誘発されたものと考えられた。 当初の予定では、電気焼灼による多趾の誘発とPCDの関係を明らかにすることを主題としていたが、電気焼灼による多趾の誘発は歩止まりが悪いという問題があり、十分な実験結果は得られなかった。しかしながら電気焼灼した肢芽においても刺激によりできた血腫周囲にTUNEL陽性細胞が散見されることがわかった。また、Hammer-toeマウスでは、12.5〜13.5日に通常みられる指間のPCDが起こらない事もわかりこれにより合指が誘発されることが推測できた。電気焼灼のかわりに5-FUにより誘発された多趾の実験結果が主となったが、この実験結果から新たな知見として、5-FU投与による多趾の誘発は、細胞障害に対する過剰修復によるものであることがわかった。また正常例におけるPCDの出現部位についても、元来いわれていた部位の他に、胎生11.0〜11.5日に中心部静脈洞近位、13.0〜13.5日の指節間(関節部)についてもPCDが起こることがわかった。
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