1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07771272
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
水口 かおる 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30266803)
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Keywords | 分泌 / シナプス / 筋弛緩薬 |
Research Abstract |
1.刺激によりシナプスからアセチルコリン(ACh)が分泌される過程では、AChを含むシナプス小胞と前シナプス膜の融合が起こるが、その融合機構の詳細は明らかではない。これまで、東京女子医科大学生化学教室と共同研究を行い、赤血球膜をモデルとして、膜融合過程に対する筋弛緩薬の作用を検討し、非脱分極性筋弛緩薬が融合を抑制することを明らかにした。 2.本研究では、この結果を生体における筋弛緩薬の作用点であるシナプスで検討した。Whittaker et al.及びHell et al.の方法に従って牛脳から神経シナプス小胞と前シナプス膜の反転膜小胞を調製した。マーカー酵素の測定により反転膜の割合を算出した。 3.一方の膜を蛍光プローブであるoctadecyl rhodamine B chloride(R18)で過剰に標識し、標識していない膜とCa^<2+>リン酸の存在下に融合させた。その際、融合による蛍光解消を蛍光分光光度計を用いて時間依存性に測定し、膜融合の速度と程度を算出した。 4.非脱分極性筋弛緩薬のベクロニウムは膜融合速度と程度を抑制することが明らかとなった。従来、非脱分極性筋弛緩薬は、後シナプス膜のACh受容体へのACh結合に競合することが知られているが、本研究結果から、前シナプスにおけるシナプス小胞と前シナプス膜の融合にも抑制作用があることが明かとなった。この結果は赤血球膜を用いた実験結果と一致した。 5.脱分極性筋弛緩薬のサクシニルコリンは、膜融合に関与しないことが明かとなった。
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