1995 Fiscal Year Annual Research Report
小児期,思春期における直立姿勢維持能力の発達について
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07771435
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
清水 勝利 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (20262511)
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Keywords | 小児の平衡機能 / 直立姿勢制御 / Equi Test / Equilibrium score |
Research Abstract |
小児期の直立姿勢維持機能の発達過程について動的体平衡検査装置(EquiTest system)を用いて検討した。対象は平成5年度より継続して検査を行っている幼稚園児、小学生、中学生の計100名とした。小児の起立静止状態での姿勢維持安定性は開眼時は小学6年生で、閉眼時は小学4年生で、また眼前の前景がが被害者の前後動揺に追従して傾斜動揺する条件では小学6年生で正常成人と有意差が認められなくなった。ヒトは視覚、体性感覚、前庭感覚情報を統合制御することにより直立姿勢を維持するが、小児期においては起立静止状態を維持するための体性感覚系に関与する神経系の発達は小学校低学年で認められるものの、視覚系に関与する神経系は小学校高学年まで発達過程にあると推測され、小学生はより視覚に依存して直立姿勢を維持していると思われる。更に起立台及び前景が被検者の前後動揺に追従して傾斜動揺する条件では中学2年生で正常成人と有意差が認められなくなったが、中学3年生においても正常成人より平均値は低く、ばらつきは大きかった。この条件下では唯一正確な前庭感覚情報と正常とは異なる視覚、体性感覚情報が入力されるため、直立姿勢を維持するにはより複雑な感覚統合を必要とする。従って中学生の段階でも直立姿勢維持に関与する前庭神経系は発達段階にあるのみならず、個々の感覚情報を統合制御するためのより高位の中枢神経系の姿勢保持機構は発達段階にあるものと推察された。これら同一被検者がいつ正常成人の直立安定性を獲得するかは今後の検討課題である。 単年度の結果比較では特定の学年での有意な直立安定性の向上は認められず、幼稚園児から学年を経る従って徐々に向上し、正常成人で最も高い直立安定性が認められた。また、複雑な感覚統合を必要とする条件下では小学校高学年から中学生にかけて男子よりも女子の方が直立安定性が高く、この男女差がいずれに起因するかは今後の検討が必要と思われる。
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