1995 Fiscal Year Annual Research Report
喉頭知覚反射の記録を用いた脳幹の気道防御反射系に関する電気生理学的研究
Project/Area Number |
07771453
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
鷲崎 正治 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (10264178)
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Keywords | 喉頭 / 知覚 / 電気生理学 / 上喉頭神経 / 誘発筋電図 |
Research Abstract |
嚥下をはじめとする喉頭防御反射における知覚受容ならびに知覚伝導系の客観的評価法はいまだ確立されていない。これまで我々は上喉頭神経電気刺激によって誘発されるネコの脳幹および皮質由来の電位を同定し、喉頭知覚誘発電位(LSEP)として報告した。しかし、再現性のあるヒトLSEPを安定した状態で導出することは困難であった。そこで我々は、自然刺激(触刺激)により反射性に誘発される内喉頭筋筋電図を記録し、喉頭知覚受容系の評価を試みた。 上喉頭神経電気刺激に対して迷走神経、反回神経、下咽神経のニューログラムおよび内喉頭筋各筋の筋電図を導出した。特に甲状披裂筋に最も高い電位で一定の潜時をもって誘発電位が記録された。その潜時は、同側で11.34±1.34msecであった。そこで甲状披裂筋を指標として喉頭粘膜自然刺激に対する応答をみることとした。その結果、上喉頭神経電気刺激に比較して触刺激によるものは、約3msecの潜時の延長を認めた。またその反射性応答はリドカインによる喉頭粘膜表面麻酔を行うことにより速やかに消失し、時間の経過とともに回復が認められた。今後、喉頭知覚受容系を客観的に評価する臨床応用の可能性が示唆された。 現在、より安定した反射性応答を検出するために、触刺激検出装置を考案開発中であり試作段階である。この検出装置を使用し、反射性応答を記録するならば、応答の潜時の標準化が容易となるため知覚受容系の評価もより容易となると考えている。検出装置のプローブの改良、ならびに表面筋電図等による安定した応答の記録が可能となるならば、より一層臨床応用に近づくと考え今後の実験を追加していく考えである。
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