1995 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時呼吸障害(いびき)の身体に与える影響について
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07771490
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
貞岡 達也 大阪医科大学, 医学部, 助手 (20268197)
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Keywords | 鼾 / 音圧 / 食道内圧 / 上気道狭窄 |
Research Abstract |
本研究の目的は,睡眠時呼吸障害の病的境界がどこにあるかということと鼾の医学的意義を明らかにすることである.鼾は睡眠時呼吸障害においては必発する症状であるが,本当に大きな鼾は上気道狭窄の指標として用いられるべきものであるかという疑問の解答はなされてはいない.そこで睡眠時無呼吸をもたない単純鼾症患者6名を対象として終夜睡眠ポリグラフ検査を施行し,鼾の強さとして鼾の音圧,上気道狭窄度として食道内圧変動値を測定し,その関係を検討した. 結果であるが,睡眠深度が深くなるにつれて食道内圧変動値は大きくなる傾向にあったが,鼾の音圧は必ずしも大きくなる傾向は示さなかった.そしてそれぞれの食道内圧変動値とそれに一致する鼾の音圧の相関関係を求めたところ,相関係数は各症例で0.337〜0.724であり,高い相関とはいえなかった. この結果からいえることは,鼾の音圧は上気道狭窄を予測する補助的な指標とはなるうるかもしれないが,十分な指標とはなりえないということである.上気道狭窄が高度になれば上気道を通過する呼吸量が制限され,鼾として生じる音が大きくない場合があるということが推測された.上気道の呼吸通過障害をきたす睡眠時無呼吸症候群では,鼾の強さは必ずしも上気道狭窄の強さを表す十分な指標とはなりえないと考えられる.今後は,食道内圧変動値,音圧,呼吸量の同時測定を行い,それぞれの変動を検討し,鼾,低換気,無呼吸に至る過程を観察し,鼾の医学的意義を明らかにしてゆく.
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