1995 Fiscal Year Annual Research Report
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07771558
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
澤 浩 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20264773)
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Keywords | 白内障手術 / 自己閉鎖創 / EGF / tensile strength / 創傷治癒 / 促進効果 / 線維芽細胞 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
白色家兎を用い白内障手術における自己閉鎖創を作製し、自己閉鎖創の創傷治癒に対するEGFの臨床効果について検討した。実験方法は、成熟白色家兎を用い、白内障手術における自己閉鎖創を作製した。これらの家兎をEGF点眼群とコントロール群に分け、EGF点眼群には10μg/mlのヒトリコンビナントEGF点眼を、コントロール群には基剤の点眼を、術翌日より両眼に1日5回施行した。両群とも術後4日、7日、10日に屠殺し眼球摘出を行い、切開創を含む子午線方向に沿った2×8mmの強角膜切片を作製後、その引っ張り試験であるtensile strengthを測定した。tensile strengthの値は、1個体の両眼の平均値をとり、自己閉鎖創の強度として両群を比較した。解析対象は、術後4日、7日、10日の各々、EGF点眼群9羽・14羽・12羽、コントロール群9羽・12羽・11羽の計67羽を測定した。測定結果は、術後4日、7日、10日で、EGF点眼群では46.7±6.1、177.3±12.4、169.1±12.5、コントロール群では、33.9±5.3、127.0±16.6、180.0±12.4Mean±SE(単位g/2mm)であった。両群を比較すると、術後7日にはEGF点眼群がコントロール群より有意に大きな値を示した(p<0.05)。術後4日、10日では両群とも同程度の測定値を示し有意差を認めなかった。また、EGF点眼群とコントロール群のtensile strength測定値の推移は二元配置分散分析法にて有意差が認められた。また、組織学的には、光顕で、トルイジンブルー染色にて、術後7日の強膜切開部分では、EGF点眼群に線維芽細胞と細胞外マトリックスの増生が認められた。7日の強膜半層切開創では明らかな組織的な両群の差は認められなかった。しかし、少し強膜半層切開創に線維芽細胞がEGF点眼群に多く認められた。 以上より術後早期である術後7日にかけ、EGF点眼により自己閉鎖創の創傷治癒の明らかな促進効果が認められた。
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