1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07771561
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
菅原 岳史 岩手医科大学, 医学部, 助手 (30244924)
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Keywords | 網膜虚血 / 電気生理 / 虚血保護剤 / Prostaglandin E_1 / 有色家兎 / 全身投与 / 眼圧上昇 |
Research Abstract |
目的:Prostaglandin E_1・α-cyclodextrin (PGE_1)は網脈絡血管拡張および血流増加作用を有するとともに、細胞膜保護(ライゾーム膜安定化、活性酸素産生抑制)作用も有している。PGE_1の網膜虚血保護作用について網膜電図(ERG)を用いて検討した。 方法:実験1 「PGE_1の正常網膜に及ぼす影響」 有色家兎を不動化した後にERGを記録した。続いて、PGE_1(10.0μg/kg)の生理食塩水溶液を静脈注射により60分間点滴投与後に、5時間目までは1時間毎に、その後は24、48時間、および1週間後にERGを記録した。実験2 「PGE_1の虚血網膜に対する影響」 上記と同様の薬剤点滴開始30分後から、眼圧を130mmHgに60分間上昇させて眼虚血を負荷し、虚血前、虚血中、虚血後のERGを上記と同じ時間、およびその後1週間毎に3回測定した。虚血前の振幅に対する虚血解除後の振幅を回復率とした。各実験ともに、生理食塩水と同量投与した例を対照群とした。 結果:実験1、ERGのa、b、c各波の振幅は薬剤投与の前後で変化なく、対象群との間にも有意差はなかった。実験2、a、b波の振幅の回復率は、対照群と比較して有意に大きかった。 結論:今回用いた濃度のPGE_1自体では、正常網膜のERGに影響を及ぼさなかった。他方、虚血を負荷した場合には、PGE_1投与群の虚血後のERG振幅の回復率が対照群よりも良好であったことから、本剤は網膜虚血障害に対する保護作用を有することが推察される結果を得た。 以上の内容について、平成7年12月に奈良市で開催された臨床視覚電気生理学会にて報告した。
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