1995 Fiscal Year Annual Research Report
インターフェロンβの局所投与による実験的脈絡膜新生血管の抑制効果
Project/Area Number |
07771583
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
藤本 恭平 関西医科大学, 医学部, 助手 (00219049)
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Keywords | テノン嚢内注入 / 眼内移行率 / 網膜色素上皮細胞 / 老人性円板状黄斑変性 / インターフェロン |
Research Abstract |
【目的】我々はサル眼に、ヒト-インターフェロン-β(INF-β)が光凝固後の修復過程にある網膜色素上皮の増殖を著しく促進されることを明らかにした。しかし、IFNの全身投与は、悪寒、発熱、全身倦怠感や網膜出血、軟性白斑など副作用を生じ臨床応用に的に、問題が残っている。そこで我々は少量投与が可能で全身の副作用の軽減が期待できる局所投与に注目し、IFN-βの局所投与が網膜の組織修復に与える効果をin vivoで検討した。 【方法】予備実験としてIFN-βを家兎眼に一定量テノン嚢内注入を行いELISA法により眼内各組織への移行率を調べ、ついで、IFN-βを100万,10万,1万国際単位を連続10日間テノン嚢内注入を行い投与開始後第4,8日に網膜に色素レーザーの橙色波長を用いて眼底に中等度の光凝固を行った。対照群にはプラセボを同様に局所投与した。両群とも光凝固後11日に眼球摘出し、光凝固後の網膜色素上皮の修復状態を光顕、電顕を用いて観察した。 【結果】テノン嚢内注入されたIFN-βは眼内各組織に移行し、特に脈絡膜で高い数値を示した。光凝固3日から、IFN-β投与群では網膜色素上皮細胞の増殖が著明で、光凝固7日には光凝固部の中央にまで修復しBruch膜を完全に被っていた。この網膜色素上皮の増殖の促進は特に高単位投与群で著明であった。対照群では網膜色素上皮細胞の増殖は凝固班の辺縁部で増殖はみられたが、軽度であった。 【結論】IFN-β局所投与によって光凝固後の組織の修復、特に網膜色素上皮の増殖修復がin vivoでは促進されることが明らかになったことから、IFN-βは脈絡膜新生血管の退縮過程に対しても網膜色素上皮細胞の増殖を促進し新生血管の囲い込みを確実におこない、老人性円板状黄斑変性症の薬物療法として期待できると思われた。
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