1995 Fiscal Year Annual Research Report
ラット脳内オピオイド受容体mRNAの定量的分析と成長過程における発現
Project/Area Number |
07771661
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
今井 康夫 広島大学, 歯学部, 助手 (30271068)
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Keywords | オピオイド受容体 / メッセンジャーRNA / RNaseプロテクションアッセイ / ラット / 発育 / 分子生物学 |
Research Abstract |
オピオイド受容体にはμ,δ,κの3種のサブタイプが知られている.これらのそれぞれのアミノ酸配列をコードするメッセンジャーRNM(mRNA)は部分的には相同性が高いものの,比較的特異性の高い部分を用いてプローブを作成し,また識別力の高いassay法であるRNaseプロテクションアッセイ法を採用することにより,ラットにおけるこれら3種のmRNAを別個に定量することが可能となった. ラットμオピオイド受容体mRNAは神経組織に多く見いだされ,特に視床,視床下部に高密度に分布していた.一方小脳にはほとんど見いだされなかった.さらに胎生期から生後3カ月までのmRNA発現量の推移を調べたところ,胎生期の全脳で大きく増加し生後2週から3週にかけて中脳で著明に増加した.一方,大脳皮質では変化が認められなかった.成長後は中脳>橋・延髄>大脳皮質の順に発現量が多かった. δオピオイド受容体mRNAは胎生期はあまり変化せず,生後少しずつ増加し,1週から2週にかけてやや大きな増加が観察された.成長後は大脳皮質>橋・延髄>中脳の順になった. κオピオイド受容体mRNAは胎生期の全脳で徐々に増加し,生後0日にすでに橋・延髄で相当量の発現が認められた.他の部位では徐々に増加し,成長後は橋・延髄>中脳>大脳皮質の順になった. これらの結果の有する機能的意義は痛みの感覚の発達と密接な関連をもつと考えられるがこの関連に対する詳細な解析は今後の研究にゆだねるところが多い. 以上のように,中枢神経におけるオピオイド受容体mRNA発育段階に応じてサブタイプ,部位ごとに異なった発現調節を受けていることが明らかになった.
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