1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07771684
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
翁 淳仁 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (30248546)
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Keywords | 歯垢形成ラット / 顎下腺 / 唾液 / シスタチン |
Research Abstract |
歯垢形成ラットの顎下腺唾液の研究について以下の所見を得た 1.12週齢雄のSUSおよびRESのIPR(30mg/kg)刺激顎下腺刺激唾液をpH3.5-9.5の等電点電気泳動法にて分析するとpI4.55付近にシスタチンとほぼ等しい等電点を持つバンドに量的変化が認められた。 2.唾液シスタチンを本研究室で作製したRSC-3の抗体と精製標品を用いてオクタロニ-法およびイムノサーモブロッティング法を行いシスタチンであることを確認した。 3.抗シスタチン抗体を用いるNishiuraraらの報告に準じ酵素抗体法にて検索すると12週齢雄のRESはSUSに比べ約2900倍のシスタチンを、12週齢雄のRESはSUSに比べ約840倍のシスタチンをIPR刺激唾液中に分泌した。また4週齢雄のSUSおよびRESのシスタチン量に有意差は認められなかったが8週齢雄のRESはSUSの約60倍のシスタチンを分泌し有意差が認められた。 4.12週齢雄のSUSおよびRESにIPRを6日間連続投与後のIPR刺激唾液中のシスタチン量に有意差を認められなかった。 5.12週齢雄のSUSおよびRESの歯肉中に含有するシスタチン量はSUSではほとんど検出できなかった。しかしRESでは検出できた。また12週齢雄のSUSおよびRESにIPRを6日間連続投与後に歯肉中に含有するシスタチン量はSUSおよびRESともに増加したが有意差は認められなかった。 6.12週齢の血清中のシスタチン量を測定した結果、SUSとRESの血清中にシスタチンはほとんど検出できなかった。しかし、6日間連続投与後では両群ともシスタチンを検出できたが有意差は認められなかった。 7.12週齢の顎下腺組織抽出液中のシスタチン量はRESはSUSの約6000倍のシスタチンを含み有意差が認められた。しかし6日間連続投与群は両群ともシスタチン量が増加し、有意差を認めなかった。 8.ODUラットシスタチンのN末端から26個の配列はSDラットシスタチンSと同じであった。 9.mRNAの発現をNorthern blotで検索するとRESとSD系雌性9週齢ラットにIPRを4日間連続投与した対照群では同じサイズにmRNAが発現しましたがSUSとSD系雌性の未処置群ではほとんどmRNAの発現は認められなかった。 10.SUSの歯周ポケットの深さは4、8、12週と週齢を追うごとにポケットは深くなり各週齢間で有意差か認められた。 11.12週齢のSUSにIPRを6日間投与する前と投与後のポケットの深さを測定するとIPRを投与することにより歯周ポケットの改善がみられた。 シスタチンが唾液中に増加するという報告はIPRの連続投与によるもの、歯牙切断あるいは矯正装置装着によるもの以外ではパパイン等のシテインプロテアーゼ含有飼料を与えた場合に見られます。今回ODUラットのSUSとRESの顎下腺唾液中のシスタチン量に顕著な有意差が認められたことは、プラーク形成にシスタチンが深く関与しているのではないかと考えられた。また、SUSにIPRを連続投与しシスタチン量を増加させることにより歯周ポケットの改善がみられたことはこれからの歯周病の予防や治療にシスタチンが有効であると示唆された。
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