1995 Fiscal Year Annual Research Report
非接触型レーザー血流計を用いたヒト口腔粘膜血行動態の解析
Project/Area Number |
07771700
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
斉藤 友克 横浜市立大学, 医学部, 助手 (90264613)
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Keywords | 口腔粘膜 / 組織血流 / レーザー / 時系列データ / アフタ |
Research Abstract |
ヒト口腔粘膜、特に可動部粘膜の血流測定に関しては、機器の大きさや方向に制限を受ける口腔の解剖学的特性、唾液や血液等の粘膜表面の性状、また測定部位の可動性の問題等から、近年の医用工学の進歩にもかかわらず、充分な成果が得られていなかった。そこでわれわれは、非接触型レーザー血流計を用いた測定法に工夫を加えた新しいヒト口腔粘膜血流測定システムを開発し、その時系列データをMemCalcによって解析して、ヒト口腔粘膜血流の特性を明らかにしてきた。今回健常粘膜とアフタ紅暈部の血流量の差異に関して報告する。 測定装置として、唾液や組織表面からの反射光の影響のないように、プローブの先端に特殊偏光素子を備えた非接触型レーザー血流計(ALF21,アドバンス社)を使用した。さらにプローブと測定面との距離を一定にする目的で、粘膜接着剤を貼付したステントを用いて、直径2.5mmの測定範囲にて粘膜血流の測定を行った。測定対象は、男性8例の下唇のアフタ紅暈部とその周囲5mm離れた健常粘膜とした。得られた時系列データは、MemCalcシステム(諏訪トラスト社)により解析を行った。 その結果、ヒト口腔粘膜血流量は多重する周期構造を示した。60秒の区間領域にて連続解析を行い、べきスペクトルの傾きを比較したところ、発症2・3日目のアフタ紅暈部の傾きの値は、健常粘膜より有意に高値を示した。また周波数領域別の区分積分値を比較したところ、アフタ紅暈部では0.8-2Hzの領域が高値を示した。一方、治癒過程にある発症6・7日目のアフタ紅暈部のべきスペクトルの傾きは、健常粘膜より高値を示すものの有意の差はなく、経過に伴い健常粘膜の値に近づく傾向を示した。 以上の結果から、本測定・解析法は、ヒト口腔粘膜の局所の血流量の特性を明らかにするものと考える。
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