1995 Fiscal Year Annual Research Report
家兎VX2舌癌におけるリンパ管の分布と構築およびリンパ管の電顕的観察
Project/Area Number |
07771703
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
宮手 浩樹 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (30254791)
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Keywords | VX2舌癌 / 5'-Nase / 腫瘍周囲リンパ管 / 腫瘍近接リンパ管 / 腫瘍間質リンパ管 |
Research Abstract |
VX2癌をウサギ舌に移植し、リンパ管に活性の高い5'-Nucleotidase (5'-Nase)を検出し、腫瘍周囲リンパ管、腫瘍近接リンパ管および腫瘍間質内リンパ管の分布と変化を経日的に検討した。その結果、1.無処置および滅菌生理食塩水を注入した対照群のウサギ舌内には舌深動脈伴行集合リンパ管、オトガイ舌筋に沿って口底に向かう集合リンパ管および舌中隔内集合リンパ管の3経路が認められた。2. VX2癌移植後10日目では癌組織近接リンパ管の口径が対照群と比較して、有意(P<0.01)に太くなり、リンパ管は癌組織を取り囲むようにネットワークを形成し、所属リンパ節への転移も認められた。3.癌組織周囲リンパ管の走行は癌のリンパ節転移の認められない移植後7日目に比べると屈曲、蛇行していた。また、癌組織間質内リンパ管の形態は癌の発育、進展の影響により圧迫され、扁平化される傾向がみられた。 以上の結果よりウサギ舌における5'-Nase反応は固定条件を調整することによって一定の組織像を観察し得るとともに、リンパ管を識別することが可能であった。本研究で用いたVX2癌細胞は腫瘍が舌中隔や口底部に達すると、反対側転移の頻度が高いことから、オトガイ舌筋筋束間を走行する集合リンパ管および舌中隔内集合リンパ管の交叉経路を経由して反対側へ転移する可能性が示唆された。また、癌組織を取り囲むように形成された一層のリンパ管網は癌細胞による影響を受ることによって、内皮細胞の増殖が旺盛となり、口径の増大、屈曲および蛇行などの形態変化をきたすものと考えられた。このような変化はリンパ管と癌細胞との間に接着因子や5'-Naseの細胞代謝および物質輸送機能が深く関わっているものと推察された。
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