1995 Fiscal Year Annual Research Report
親水性光重合型ボンディング剤の窩洞適合性と歯髄為害性について
Project/Area Number |
07771791
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中沼 邦欣 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (00267105)
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Keywords | 水溶性光重合型開始剤 / 接着 / ボンディング剤 |
Research Abstract |
本研究では水溶性光重合開始剤を用いた新規親水性光重合ボンディング剤を開発しその接着性および歯髄為害性について検討した。 本ボンディング剤はベースモノマーとして35%グリセリルメタクリレート,20%ポリエチレングリコールジメタクリレートおよび10%ウレタンジメタクリレートを用い,接着性モノマーとして本学部で開発されたメタクリロイルチロシンアミドを5%添加した。それに合わせる重合開始剤には水溶性光重合開始剤である2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ9H-チオキサンテン-2-イロキシ)-N,N,トリメチル-1-プロパンアルミニウムクロリド,1%とジメチルアミノエチレンメタクリレート,2%とした。 まず引張り接着試験より本ボンディング剤の接着性を検討した。被着体は牛下顎前歯を用い象牙質を♯1000まで研磨し,各種処理剤にて60s処理し本ボンディング剤を60s塗布,乾燥後光照射を30s行いコンポジットレジンを充填,硬化させた。その結果,0.3 MEDTA. 2Na-0.2M EDTA. Fe・ Na混合水溶液にて処理した場合約13MPaと良好な接着強さを示し,また従来より用いられている38%リン酸水溶液や10%クエン酸-3%塩化第二鉄混合水溶液で処理した場合は約5〜6MPaと低い値を示した。すなわち,本ボンディング剤は象牙質に対して0.3M EDTA. 2Na-0.2M EDTA. Fe・ Na混合水溶液処理を行えばデンチンプライマーを用いなくとも良好な接着性を示すことが確認された。 以上より本ボンディング剤は象牙質窩洞の良好な封鎖が期待できるものと考えられる。また窩洞の完全な封鎖が可能であれば歯髄為害性が少ないものと考え,現在動物実験にて歯髄為害性の病理学的検討中である。
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