1995 Fiscal Year Annual Research Report
純チタン陶材焼付冠の焼付機構の明解および臨床的強度の改善
Project/Area Number |
07771858
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石橋 邦子 九州大学, 歯学部, 助手 (50243952)
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Keywords | チタン / 陶材 / 接合 |
Research Abstract |
現在市販されている陶材焼付用合金には力学的な問題や生体適合性の問題等がある.そこで強度が高く,生体為害作用の少ないと言われているチタンを陶材焼付冠に使用することは有益である.しかし,チタンと陶材の接合強度は従来の陶材焼付用合金に比較して劣っており,その原因の一つとして,陶材焼成時にチタン表面に過剰に生成されるチタン酸化物が考えられる.本研究では,陶材焼成時,界面の過剰なチタン酸化物の生成量を減少させるために,チタンに前処理を行ってチタン表面に水素との化合物を作り,その上に陶材を接合させて,陶材との接合強度を測定した.さらに,チタンと陶材との接合界面の反応生成物を分析することにより,両者の接合機構について考察した.その結果水素雰囲気中にて500°Cまで加熱処理を施したTiと陶材との接合強度は4.38±0.816MPaであり,これはコントロール群の接合強度,1.99±0.479MPaの約2倍の強度であった.450°Cで処理した試料群の接合強度は2.10±0.318MPaであり,平均値ではコントロールを上回ったが,有意差はなかった.550°Cで処理した試料群の強度測定不可能であった.接合界面のSEM像観察の結果,水素雰囲気中にて500°Cまで加熱処理を施した試料では陶材と金属は密に接合しており,界面に約1μmの反応層が観察された.金属表面のX線回折ではいずれの試料においてもTiO2のピークが検出された.コントロールの試料に比べて,加熱処理をした試料ではTiO2のピークの強度が小さかった.550°Cの試料ではTixHyのピークが検出された.以上の結果より500°Cで加熱処理した試料はサンドブラスト処理などによって機械的な接合をも期待できる条件下では臨床的に問題のない強度を得られる可能性が示唆された.また,接合強度を改善するためには,TixHy層の厚さを至適な厚さに制御する必要があることが明かとなった.
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