1995 Fiscal Year Annual Research Report
CTを応用したチタン鋳造体の鋳造欠陥の定量化に関する研究
Project/Area Number |
07771907
|
Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
安田 英子 松本歯科大学, 歯学部, 助手 (10267792)
|
Keywords | チタン / 鋳造欠陥 / CT |
Research Abstract |
(1)目的 チタンは多くの利点を持つため歯科応用が検討されている.しかしながら,鋳込み不足や鋳巣が多発するため,臨床に用いる場合には,X線による非破壊検査が必要とされてきた.本研究は,簡便で精度の高い検査方法を確立することを目的として,CTを用いてより厳密な内部欠陥の体積を求め,通常用いられているX線による非破壊検査の結果と比較検討を行なった. (2)結果 実験1〔CTおよびX線撮影装置を用いた鋳込率算出(1回法,積算算出法)〕 当初の計画で設定した,円柱状パターンでは鋳巣が発生しなかったため,板状パターンを用いて鋳込率算出を行なった.CTによる鋳込率算出法では,撮影時にアーチファクトが出現し,得られた画像は不鮮明であった.また,今回の研究で用いた,CTは切断可能な距離が最小1mmであったため,切断部位の設定によってはφ1mm以下の欠陥は確認できなかった.この点の対処法としては試験体の移動を行いながら撮影を行えば解決されるが,コストと時間がかかるため更に検討を加える必要がある.一方,X線撮影装置では,積算算出法に比べて1回法がやや高い鋳込率を示したものの,統計学的な有意差は認められなかった.また,CTでは撮影部位によって1φmm以下の内部欠陥が検出しにくいため,X線撮影装置を用いた場合,鋳込み率がやや低い値を示した.なお,埋没材による鋳込率の差は認められなかった. 実験2〔万能試験機による引張試験〕 内部欠陥の多い試料体においては引張試験による測定値が低く,内部欠陥の存在する部位から破断した. 以上の検討から,歯科用X線撮影装置を用いた1回法の鋳込率算出が簡便で,かつ比較的精度が高いことが判明した.また,引張試験の結果から,内部欠陥の存在する鋳造体の機械的性質は低く,チタン鋳造体を臨床応用するにあたり内部欠陥の発生部位が問題となる.今後は,これらの点についてさらに検討を加えて行く必要があると思われる.
|