1995 Fiscal Year Annual Research Report
鎮静および吸入麻酔時における脳内神経伝達物質の変動に関する基礎的研究
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07771949
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
嶽崎 理英 長崎大学, 歯学部, 助手 (20264260)
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Keywords | マイクロダイアリシス / コンフリクト行動 / セロトニン / 海馬 / 抗不安薬 |
Research Abstract |
ベンゾジアゼピン系に代表される抗不安薬は、患者の不安などの不快な情動による全身的偶発症の発生予防を目的として歯科領域でも使用されているが、その多彩な薬理作用に起因する副作用により限られた施設における使用が現状である。そこで、不安の脳機構に重要な役割を果たすと考えられるモノアミン神経系の働きを調べる事から、不安の脳機構ひいては、抗不安薬の作用機構を検索し、より選択性の高い抗不安薬の可能性を検討する目的で本実験を行った。行動薬理学的に動物の情動変化を調べる手法として、ラットの代表的不安モデルの一つであるVogel型conflict testを用い、コンフリクト行動誘発に伴うセロトニン神経活性の変動をセロトニン性不安統御の主要部位と考えられている背側海馬にて検討した。測定は、神経伝達物質の経時的測定が可能であるマイクロダイアリシス法を用い、動物の行動変化と対応させた。その結果、コンフリクト行動に伴うセロトニン遊離の有意な亢進が観察され、この神経活性亢進が、抗コンフリクト作用をもたらす用量の抗不安薬の投与により、抑制されることを観察した。これにより不安の脳機構における背側海馬セロトニン神経系の関与を示す、より直接的な証明が得られた。今後更に、不安の発現・統御に関与すると考えられるノルアドレナリンなどの他の神経伝達物質に対する検討および、背側海馬以外の主要な脳部位における検討を行っていく予定である。
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