1995 Fiscal Year Annual Research Report
顎顔面頭蓋の不調和に対する下顎骨および下顎symphysisの補償機構について
Project/Area Number |
07772067
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
関谷 利子 鶴見大学, 歯学部, 助手 (90226663)
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Keywords | 下顎symphysis / 下顎骨 / 上下顎関係 / 多変量解析 |
Research Abstract |
顎顔面頭蓋の前後的不調和に対し下顎骨および下顎symphysisの形態がどのように対応するのかを明らかにするため、成人不正咬合335症例の側方頭部X線規格写真を用いて下顎骨の形態計測を行い、一元配置分散分析で不正咬合間の下顎骨形態の違いを検討した。また、下顎骨形態間での相互関係の有無を見るために各計測項目間の相関係数を求め以下の結果を得た。 1)下顎symphysisの傾斜は、上下顎関係(ANB角)と相関がみられ、骨格的III級、I級、II級の順で舌側傾斜が認められた。特に歯槽骨においてこの傾向が顕著であった。 2)下顎symphysisの厚径は骨格的I、II級に比べ骨格的III級において著しく薄かった。 3)下顎symphysisの長さ骨格的II級が最も長く、骨格的III級は最も短かった。 4)下顎symphysisの傾斜は下顎枝の傾斜と相関が認められた。 5)下顎symphysisの厚径は下顎symphysis基底骨の傾斜と相関が認められた。 さらに、クラスター分析により下顎symphysisの形態を7種類に分類できた。うちわけは骨格的II級が2種類、骨格的III級が2種類、骨格的I級とII級の混合、骨格的I級とIII級の混合、骨格的I、II、III級の混合が各1種類ずつであり、骨格的II級、III級における下顎symphysis形態の特徴を視覚的にパターンとして捉えることができた。 以上の結果から、顎顔面の前後的不調和に対し下顎骨は下顎symphysisおよび下顎枝の傾斜で代償していることが示された。特に下顎symphysisは厚み・長さもふくめてその形態を柔軟に変えて適応することが示唆された。
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