1995 Fiscal Year Annual Research Report
振動切削装置(エイクレス)の小児歯科領域への応用に関する研究
Project/Area Number |
07772075
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
子安 玲子 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (50261029)
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Keywords | 振動切削 / エイクレス / 小児 |
Research Abstract |
研究目的および方法:歯を超音波振動させることより,治療時の疼痛発生を抑制し,歯の切削時の振動による不快感を軽減させる目的で開発された振動切削装置(エイクレス)を用いて臨床調査を行い,その効果と小児歯科領域への応用の可能性を検討した.調査に使用した振動切削装置は,金属ホーンを介して歯に微小振幅の超音波振動を与える装置である.本学附属病院小児歯科外来を受診した3歳から14歳の患児28名に対して,他の鎮静法などを併用せず本装置のみを用いて,タービン・エンジンにて,窩洞形成を行った後,充填処置を行った.その後,治療を担当した歯科医により調査用紙を記入するとともに,患児に対して,保護者からの聞き取りによるアンケートを行った.また調査対象のうち,同顎内で,左右同名歯に同程度のカリエスを有する患児に対しては,本装置使用時,不使用時それぞれの治療時の患児の脳波を測定し,両者の比較を行った. 研究結果 :1)振動切削時の痛みについては,29%は無痛,66%は軽い痛みを感じたと判断された.6%は強い痛みを感じたと判断され,やむなく治療途中から浸潤麻酔を施した.2)本装置を用いたことによって治療がしやすくなった患児は17%,治療がやりにくくなった患児は9%認められた.3)次回からの治療に本装置を希望した患児は54%であった.4)脳波の比較では本装置の使用・不使用で,顕著な差は認められなかった. 問題点:1)疼痛軽減効果が不確実で,特に,小児では疼痛が一旦生じると,治療に対する協力が得られにくい.その時点で浸潤麻酔を行っても,疼痛閾値が低下しており麻酔の効果が現われにくい.:2)小児は歯牙が小さく術野も狭いため,治療に対して協力度の高い小児でなければ,適正なホーンの保持が困難である. 現在,適正なホーンの接触保持が可能となるような装置の改良を試みると共に,本装置を小児歯科領域に応用する際の適応症例の選択に関して検討中である.
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