1995 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカル反応を用いたエステルα位のエナンチオ選択的脱ハロゲン化反応の開発
Project/Area Number |
07772113
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
村形 政利 東京理科大学, 薬学部, 助手 (20241094)
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Keywords | ラジカル反応 / エナンチオ選択的不斉反応 / 脱ハロゲン化反応 / 有機スズ試薬 / アリル化反応 / 光学活性アミン |
Research Abstract |
有機スズ化合物を用いたラジカル反応においてエナンチオ選択的不斉反応の報告例がないことに着目し、最も基本的なラジカル反応である水素化トリブチルスズを用いる脱ハロゲン化反応のエナンチオ選択不斉反応を開発することを目的とした。キラル配位子と金属ルイス酸を用いる手法について検討した。 1.キラル配位子の合成:L-プロリンから数行程を経て新規な光学活性エチレンビスピロリジン類を収率良く合成した。また、L-フェニルアラニンより光学活性オキサゾリン類を合成した。 2.キラル配位子と金属ルイス酸を用いるエナンチオ選択的不斉ラジカル反応:1で合成したキラル配位子の不斉誘起能を種々金属ルイス酸存在下において調べた。キラル配位子としては光学活性N,N′-エチレンビス-2-ベンジルオキシメチルピロリジンが最も優れており、ヨ-化マグネシウム存在下にα-ヨード-α-アルコキシメチルジヒドロクマリン類の脱ヨード化反応が62〜74%e.e.のエナンチオ選択性で得られることが判明した。特に、α-ヨード-α-ベンジルオキシメチルジヒドロクマリンを基質とすると不斉収率が74%e.e.まで向上した。興味あることに、より対称性の高いキラル配位子であるN,N′-エチレンビス-2,5-ジベンジルオキシメチルピロリジンは低いエナンチオ選択性しか与えなかった。また、水素化トリブチルスズの代わりにアリルトリブチルスズを用いるとα-アリル-α-アルコキシメチルジヒドロクマリン類が40%e.e.程度の選択性が得られた。すなわち、本手法はエナンチオ選択的不斉アリル化反応にも適用できることが認められた。
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Research Products
(1 results)