1995 Fiscal Year Annual Research Report
アスピリン非感受性プロスタグランジン合成酵素の遺伝子導入による基質プールの評価
Project/Area Number |
07772197
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
堀 隆光 摂南大学, 薬学部, 講師 (00199522)
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Keywords | プロスタグランジン / プロスタグランジンH合成酵素 / シクロオキシゲナーゼ / アスピリン / 遺伝子 / トランスフェクション |
Research Abstract |
プロスタグランジンは、生殖・炎症・血管系など様々な場面において、多様な生理作用を持っていることが知られている。プロスタグランジン生合成系における中心的な酵素はプロスタグランジンH合成酵素(PGHS)であり、PGHSはアスピリンや非ステロイド系抗炎症剤のターゲットとしても知られている。真核細胞においては、2種のPGHSのアイソザイム、PGHS-1とPGHS-2が存在する。両酵素の一次構造のホモロジーは60%で、VmaxとKmは両酵素ではほぼ同じ値を示す。両酵素間の最も大きな相違は発現制御の違いであるが、この二つの酵素の生理機能の相違はいまだ明確ではない。本研究は、両酵素が利用しうる基質プールに着目して両者の生体における寄与を明らかすることを目的とした。実験の第一過程として、アスピリン非感受性のPGHS-1とPGHS-2の遺伝子を安定的に含有し、しかもこれらのPGHSの発現を任意にオン/オフできる細胞を構築することを試みた。本研究で用いたベクターは、GossenとBujardによって樹立されたプラミスド系である。これは、テトラサイクリンオペロンに基づいた発現誘導システムで、2段階に発現が制御される。まず、ハイブリッド転写因子tet/vp16を含むpUHD15-1をハイグロマイシン耐性プラミスドpY3と共にNIH3T3細胞にトランスフェクションし、活性化因子tTAを構成的に産生する細胞を2株単離できた。次に、これらの細胞にアスピリン非感受性に修飾したPGHS遺伝子、PGHS-1-S532AとPGHS-2-S516Aのいずれかとネオマイシン耐性プラスミドpSV2Neoをコトランスフェクションし、培地からのテトラサイクリン除去により、PGHS-1-S532AとPGHS-2-S516Aの発現を誘導できる細胞クローンを探索した。しかし、第一のトランスフェクションで単離された2つの株のどちらに第二のトランスフェクションを行っても、目的タンパクの発現を誘導できる細胞株は得られなかった。原因は不明であるがプラスミドと細胞の組み合わせに問題がある可能性があり、次回は、親株となる細胞株NIH3T3を変更して同様の実験を行う予定である。これらの細胞が得られた後、さらに実験を進めたい。
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[Publications] Ikuo Morita: "Different Intracellular Localizations for Prostaglandin Endoperoxide H Synthase-land-2" The Journal of Biological Chemisty. 270. 10902-10908 (1995)
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[Publications] Kenji Takeuchi: "Hcpatocyte Growth Fuctor(HGF)-Inducell cell Migrotion is Negatively Modcolated by Epidermal Growth Fuctor through Tyrosine Phospho by lation of the HGF Receptor" Experimental Cell Research. 223(発表予定). (1996)