1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07780125
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川田 力 広島大学, 文学部, 助手 (30263643)
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Keywords | 地域格差 / 高等教育水準 / 進学行動 / 中四国地方 / 高知県 |
Research Abstract |
ある地域の教育水準(本研究では,特定の学歴を持つ人口の地域総人口に占める割合と定義した),とりわけ高等教育水準は,高等教育機関の分布が偏在しているため,人口移動をともなった進学行動と高等教育修了後の就職行動によつて形成される.このうち進学行動には教育機会の分布状況が密接に関連している.教育サービスの提供は医療サービスの提供とならんで,わが国周辺部の公共サービス提供においては非常に重要な問題といえる.そこで本研究では大学進学を中心とした進学行動を分析することにより中四国地方における高等教育水準の地域格差発生メカニズムを明らかにしようと試みた.研究の手順と成果は以下のとおりである. (1)まず,諸官庁・行政機関を訪問し,収集した統計資料にもとづき高等教育水準から中四国地方を類型化した.その結果,大学卒業者指数から半周辺地域(広島・香川県)・周辺地域I(岡山・鳥取・山口・愛媛・徳島県)・周辺地域II(高知県)の3地域区分が抽出された.(2)このうち,最も周辺性が高い周辺地域IIに該当し,高等教育進学問題が社会問題化している高知県を取りあげ,地域格差の発生のメカニズムを検討した.その結果,高知県では高知市を中心とした同心円状の地域格差構造および高知市以東対高知市以西の地域格差構造が重層的に見られることが確認された.さらに,これには高知県が高知市中心の単極型都市システムを形成していること,および公立高等学校通学区域制度による地域区分が存在することと,中高一貫の私立学校の高知市へ集中がしていることが影響していることが判明した.(3)また,野市町および葉山村でのヒアリング調査およびアンケート調査の結果より,大学への進学行動において,親の学歴および職業による規定性が多少存在することが明らかになり,高等教育水準の地域格差再生産のメカニズムに社会集団による行動様式が関係している可能性があることが明らかになった.
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