1995 Fiscal Year Annual Research Report
不完備データを用いた寿命分布パラメータの推定方法の提案
Project/Area Number |
07780207
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
江口 伸 東京理科大学, 工学部, 助手 (30232945)
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Keywords | パラメータ推定 / 寿命分布 / ワイブル分布 / 故障件数データ / 観測打ち切りデータ |
Research Abstract |
ワイブル寿命分布パラメーターの推定を寿命データが不明である故障件数データより行うために,一定期間中に観察された故障件数データの原点周りのモーメント,分散,変動係数を用いる手法を提案・検討した.それぞれの統計量を観測期間/平均故障時間(ただし,平均故障時間は故障件数の原点周りの1次モーメントとして与えられる),形状パラメータについて整理し,形状パラメータを各統計量と観測期間/平均故障時間の関数として表すことによりパラメータ推定が可能となることを示した.特に精度の高かった故障件数の分散を利用する場合の関係式を示すと以下のようになる. m=a_0+a_1exp(-a_2σ^2(T))+a_3exp(-a_4σ^2(T)) a_2=b_0+b_1exp(-b_2(T/μ))+b_3exp(-b_4(T/μ)),a_4=c_0+c_1exp(-c_2(T/μ))+c_3exp(-c_4(T/μ)) ただし,ここでmは形状パラメータ,Tは観測期間,μは平均故障時間,a_0,a_1,a_3,b_0〜b_4,c_0〜c_4はそれぞれ定数である.加えて,観測開始時点と終了時点で観測中断データを含む寿命データに適用可能な最尤推定法を提案し,同推定方法と比較検討した結果,観測期間が平均寿命の2倍から3倍程度では,その間の寿命が未知であっても,精度的に差し支えない程度の推定が行えることが明らかとなった.一方,観測期間が短い場合には,観測中断データを含んだ最尤推定法では集束演算に非常に時間がかかり,データセットによっては推定が不能になる.このような場合に,故障件数を用いた推定方法は,精度的には寿命が既知である場合に比較してやや劣るが,実用的な推定方法として意味を持つと考えられる.
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