1995 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の立体構造の構築原理に関する理論的研究-2次構造予測法の開発
Project/Area Number |
07780581
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
小林 幸夫 創価大学, 工学部, 講師 (10247281)
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Keywords | アミノ酸配列 / 二次構造 / αヘリックス / βストランド / コイル / 三状態予測 / 統計力学 / 分配関数 |
Research Abstract |
本研究では、Wako,Saitoの島模型に従って定式化した統計力学的方法に基づいて、タンパク質の2次構造予測法の開発に取り組んだ。この方法で3状態予測(αヘリックス,βストランドおよびコイル)を行うためには、アミノ酸対の統計重率を表すパラメータの値(簡単な仮定のもとでαヘリックスとβストランドのそれぞれに対して1620個)を決定することが必要である。1994年度までの研究で、αヘリックスに比べてβストランドの予測率が15%程度低いことがわかっていた。そこで、1995年度は、βストランドを形成するアミノ酸対の統計重率の値の決め方を改良した。 1994年度までは、αヘリックスとβストランドのどちらも、残基間相互作用は鎖に沿って4残基先まで及ぶと仮定してきたが、今回の研究でβストランドの場合は2残基先までとした。この方が現実のβストランド内の残基間相互作用の働き方と合っていると考えたからである。パラメータの値は、これまでと同様、天然タンパク質の2次構造を参照して、これらを再現するように決定することにした。今回の仮定によって、パラメータの最適化は、3240次元空間ではなく2440(=3240-800)次元空間で行えばよいことになった。この最適化に着手したところ、参照タンパク質の2次構造を76.6%の精度で再現するレベルに至ったが、まだ以前の精度に及ばない。このことは、パラメータの値が十分収束していないことを意味する。 1996年度以降の課題は、パラメータの値を十分収束させることによって予測精度を伸ばした上で、各アミノ酸対が2次構造の形成に果たしている役割を考察することである。そのためには、パラメータの値が収束した段階で、これらの値を互いに比較することによって検討すればよいと考えている。
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