1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07801076
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤田 緑 東北大学, 言語文化部, 助教授 (10219024)
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Keywords | アフリカ / 比較文化 / 人種観 / 交流(渉)史 / イメージ |
Research Abstract |
日本人がアフリカ人とはじめて出会ったのは16世紀の半ば,室町時代後期のことであった。以来日本とアフリカは、諸外国との接触を絶った鎖国時代と含めて,今日に至るまで連綿とその関係を保っている。関係性の在り方に関しては時代によって異なることは言うまでもない。 本研究では日本人がアフリカおよびアフリカ人をどのように捉えてきたかを、日本とアフリカの交流の歴史を併せて明らかにしようとするもので、特に関係性が緊密となる,と同時にアフリカ黒人と他の有色人種との区別が(日本人のなかで)明確となる明治以降に焦点を絞った。本年度はまず明治以降に日本で刊行されたサハラ以南アフリカに関する文献の調査から始め、文学(翻訳を含む),政治,経済,歴史のジャンルを問わず,時系列的な文献表の作成を目指した。予想に反して雑誌まで入れるとアフリカ関連図書は膨大な量となることが判明した。そのなかでも、大衆性という観点から,版を重ねる,あるいは同一のテーマで多種類発行された図書の一つである〈アフリカ探検譚〉の資料の狩猟に努めた。この〈アフリカ探検譚〉こそが、日本人の歪んだアフリカ観、すなわちアフリカイコール野蛮,アフリカ人即未開人というステレオタイプの根本となったと思われる。昭和になってからではなく,明治初期から中期にかけて刊行された翻訳本が,粗悪なイメージの源泉となっていたわけである。来年度はこれらと原典とを対比し,翻訳の問題と日本のナショナリズムの問題にも触れつつ、さらに研究を深めていく。また原典のイギリスならイギリス、フランスならフランスでの受容も検討し,日本との比較も試みる予定である。
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