1996 Fiscal Year Annual Research Report
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07804056
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
坂口 修一 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (20221997)
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Keywords | 細胞質表層微小管 / 微小管結合タンパク質 / 情報伝達 / 低分子量GTP結合タンパク質 / Cdc42 / チューブリン / EF1α / トウモロコシ |
Research Abstract |
本研究は、(1)細胞質表層微小管に異常をきたした突然変異体の分離と、(2)細胞質表層微小管に局在する情報伝達因子の免疫学的同定を目的として行った。前者については、現在シロイヌナズナで変異体を作製・スクリーニング中である。後者に関しては、情報伝達因子の候補としてCdc42タンパク質に関する検討を加えた。Cdc42タンパク質は、細胞極性の制御に関与する分子量約25kDのras類縁の低分子量GTP結合タンパク質である。酵母からほ乳類にいたる広範囲の生物群に存在するが、植物での存在は報告されていない。まず、抗ヒトCdc42抗体を用いウェスタンブロット法により、トウモロコシにこの抗体と反応するタンパク質が存在するか否かを調べた。その結果、2つ(約50kDと約25kD)のバンドがこの抗体に反応することがわかった。蛍光抗体法によりトウモロコシの根端細胞を観察したところ、サイトソルと微小管構造とに蛍光が見られた。微小管に沿う蛍光は細胞周期を通じていずれの微小管構造にも観察され、レーザー顕微鏡により詳細に観察すると、微小管自体の蛍光と異なり、微小管に沿って点在するパターンを示した。Cdc42タンパク質はチューブリンおよび微小管結合タンパク質として知られるEF1αと弱い相同性を示すことから、本抗体で認識されたタンパク質が、これらのタンパク質と同一である可能性も考えられた。しかし、二次元電気泳動-ウェスタンブロット法により、抗α、抗βチューブリンおよび抗EF1αいずれの抗体で認識されるスポットとも異っていたことから、新規の微小管結合タンパク質である可能性が示された。さらに、トウモロコシのcDNA発現ライブラリーから本抗体を用いて25kDと50kDのタンパク質をコードする遺伝子のクローニングを行い、17クローンの候補DNA断片を得ることができた。現在、これらのクローンについて順次塩基配列を決定している。
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