1995 Fiscal Year Annual Research Report
マランゴニ効果を液帰還に利用する二成分ヒートパイプに関する研究
Project/Area Number |
07805068
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
倉前 正志 北海道大学, 工学部, 助手 (40091441)
|
Keywords | マランゴニ効果 / ヒートパイプ / 二成分ヒートパイプ / シュリーレン法 / 蒸発・凝縮 / 流れの可視化 / 表面張力 / 宇宙環境 |
Research Abstract |
濃度差によって生じるマランゴニ効果を作動液の帰還に利用した新しい型の二成分ヒートパイプの可能性について検討するために、今年度は次のような実験を行った。すなわち、エタノール水溶液を充填して下部を加熱した丸底フラスコとリ-ビッヒ冷却管をつないで還流凝縮実験を行ない、重力傾斜法による液帰還力の測定やシュリーレン法を用いた凝縮液の様子の観測などを行った。また、内部の作動液の挙動が観察できるようなガラス製の矩形ヒートパイプを作成し、エタノール水溶液を作動液とした二成分ヒートパイプの作動特性を調べた。これらの結果、次のような知見が得られた。 (1)還流凝縮実験における蒸気相の高さ方向温度分布の測定結果に基づき凝縮液の表面張力分布を算出したところ、マランゴニ力はエタノール濃度が1mol%程度の場合に冷却部入口付近で最も顕著になることが示され、これは肉眼での凝縮液の観測結果と一致した。 (2)冷却管を水平に設定した実験では、凝縮液が装置先端部から外へ流れ落ちてしまうために、重力傾斜法による液帰還力の測定はできなかったが、シュリーレン法による観察により、特にエタノール濃度が薄い場合に滴状で凝縮した液滴が重力に逆らって蒸発部方向へ移動する様子がはっきりと示された。 (3)エタノール水溶液を作動液とした二成分ヒートパイプの作動特性の測定より、組成の違いによる蒸気温度分布の違い、不凝縮領域形成の様子、ヒートパイプ内で起こるマランゴニ効果の様子などが明らかにされた。
|