1996 Fiscal Year Annual Research Report
マランゴニ効果を液帰還に利用する二成分ヒートパイプに関する研究
Project/Area Number |
07805068
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
倉前 正志 北海道大学, 工学部, 助手 (40091441)
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Keywords | ヒートパイプ / 二成分ヒートパイプ / マランゴニ効果 / 宇宙環境 / 微小重力実験 / 蒸発凝縮 / 流れの可視化 / 宇宙機器の熱制御 |
Research Abstract |
本研究は二成分ヒートパイプ内で起こるマランゴニ効果に関して重力場で検討を行ったものである。実験では内部液流れの観察を可能にするために角形ガラス製のヒートパイプを作成し、作動液としては所定の濃度に調整した水・エタノール混合溶液を用いた。このようにしてヒートパイプを作動させた際に冷却部入口付近で見られる凝縮液の挙動について、あらかじめレンズ系で作成したシュリーレンシステム(シュリーレン法またはシャドウグラフ法)を用いて観察した。その結果、凝縮液の形態は液組成によって異なっており、液濃度が5mol%の場合には滴状で、20mol%では適状もしくは筋状で、50mol%では筋状で、0,85,100mol%では膜状で凝縮することが見出された。このように水とエタノールが可溶であるにもかかわらず重力場においてエタノール濃度が薄い場合に滴状凝縮を示しており、また液組成5mol%の場合には凝縮した液滴が管壁を伝って冷却部から加熱部の方向へ約2mm/sの速度で移動しているが、これらは濃度マランゴニ効果によってもたらされる結果であると考えられる。これらの結果と、別に行なった上砂川地下無重力実験センターの落下施設を利用した微小重力実験による結果とをあわせ考えることにより、比較的薄いエタノール水溶液を作動液とした二成分ヒートパイプにおいては、微小重力場でマランゴニ効果によって液帰還を行なうことが可能であることが示され、無重力場でもウイック無しで作動しうる新しい型のヒートパイプの可能性が示唆された。
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