1996 Fiscal Year Annual Research Report
高速液体クロマトグラフィー法による有機酸代謝異常症の診断法の確立と臨床応用
Project/Area Number |
07807077
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐倉 伸夫 広島大学, 医学部, 助教授 (00144832)
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Keywords | 有機酸 / 有機酸代謝異常 / 高速液体クロマトグラフィー / 楓糖尿症 |
Research Abstract |
有機酸代謝異常症は診断に急を要し、しかも、個々の有機酸代謝異常症に特有の症状に乏しく、機器分析により化学診断する以外に方法が無い現状である。従来は、ガスクロマトグラフィ/質量分析計(GC/MS)で、診断されてきたが、機器装置が高価なために普及していない。現在国内では、僅かに数施設のみで分析可能で、急を要する疾患に対する備えとしては、不十分である。高価な機器が有機酸分析の普及を妨げているとすれば、より廉価な機器による分析法が確立されれば、多くの施設で分析可能となり、迅速診断も可能となり、その意義は大きい。 GC/MSに代わる方法はHPLCであるが、有機酸の検出法に問題があり、臨床応用は困難であった。最近、高感度な電気伝導度検出法が開発され、このHPLCによる有機酸分析法を確立し、臨床応用した。過去のHPLC法に比べて、今回用いたイオン排除クロマトグラフィー法+電気伝導度検出法は十分な分離能と感度を有し、機器自体もGC/MSに比べればはるかに廉価であった。 1 平成7年度HPLCによる有機酸分析法の確立 分離には、イオン排除クロマトグラフィー法を用いた。カラムはイオン交換カラムで、移動相にはイオン排除試薬のパラトルエンスルフォン酸を用いた。有機酸の検出は電気伝導度検出法を用いた。その結果、試薬として入手可能な有機酸約30種が分離定量可能で、臨床応用可能となった。 2 平成8年度HPLC有機酸分析法の臨床応用 正常値決定のため、新生児スクリーニングで偽陽性であった患者尿を用いて、有機酸を分析定量した。尿そのものを検体としても十分な測定感度が得られ、有機溶媒での抽出は不要であった。 つぎに、既に診断の確定している有機酸代謝異常症患者尿での分析を試み、楓糖尿症、メチルマロン酸尿症、アルカプトン尿症、イソ吉草酸尿症、グルタール酸尿症、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタール酸尿症、ミトコンドリア異常症(高乳酸尿症)の各疾患について診断可能であった。 より廉価なHPLCを用いる有機酸代謝異常症の化学診断法が確立されたので、本法が早期診断早期治療の一助になると確信する。
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Research Products
(2 results)