1996 Fiscal Year Annual Research Report
c-fosストレス反応を指標とした、ストレス脆弱性モデル動物の開発
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07807092
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Research Institution | SAITAMA MEDICAL SHCOOL |
Principal Investigator |
渡辺 義文 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (90182964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 淳史 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (40255089)
湊川 文子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60146272)
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Keywords | ストレス脆弱性 / Wistar Kyotoラット / c-fos / In Situハイブリダイゼーション / 視床下部室傍核 / 青斑核 / 血中コルチコステロン濃度 |
Research Abstract |
1.急性および慢性ストレスに対するWistar Kyoto(WKY)ラットとWistarラットにおけるc-fos脳内反応性の比較 WKYラットおよびWistarラットに1日1時間の拘束ストレスを1日、3日、7日、14日間負荷し、拘束ストレスによって誘発されるc-fos mRNAの視床下部室傍核ならびに青斑核における発現をin situハイブリダイゼーション法を用いて計測した。その結果、急性拘束ストレスに対するc-fosの反応性は視床下部室傍核、青斑核いずれにおいてもWKYラットとWistarラットの間に差は認められなかった。 慢性ストレス下、Wistarラットは従来の報告通りストレス3日目より急速なc-fos反応性の減弱を示し、ストレス7日目でその反応性は底値となったが、WKYラットもWistarラットとほぼ同様の経過を示した。WKYラットに対して拘束ストレスと併せて抗うつ薬イミプラミン(5mg/Kg)の腹腔内投与を14日間行ったが、c-fosのストレス反応性にイミプラミン投与の影響は認められなかった。 以上の結果から、c-fosのストレス反応性からはWKYラットの視床下部室傍核ならびに青斑核におけるストレス過敏性、脆弱性は確認できなかった。 2.急性および慢性ストレスに対するWKYラットとWistarラットの視床下部-下垂体-副腎(HPA)系のストレス反応性の比較 2.WKYラットおよびWistarラットに2時間の拘束ストレスを13日間負荷し、ストレス1、3、7、13日目にストレス下の血中コルチコステロン(CS)濃度を測定した。ストレス1日目のCSピーク濃度はWistarラットに比較してWKYラットで有意に高く、WKYラットにおけるHPA系のストレス過敏性が確認された。 ストレス3日目以降Wistarラットではストレス30分におけるCSピーク濃度の低下、ストレス60分以後のCS濃度のさらなる低下というストレス刺激に対する「馴れ」を示唆する現象が認められたが、対照的にWKYラットではCSピーク濃度の低下はみられず、ストレス60分以後のCS濃度の低下もストレス120分でのみ軽度みられるにすぎなかった。この結果はWKYラットにおけるHPA系のストレス適応不全、脆弱性を示唆している。
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