1995 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性はインスリンによる血管拡張作用にも存在するか
Project/Area Number |
07807095
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
景山 茂 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (00130154)
|
Keywords | インスリン / インスリン抵抗性 / 高血圧 / 血小板 / グルコースクランプ |
Research Abstract |
本研究は慈恵医大の医学研究審査委員会により承認され、被験者からは文書による同意・承諾を得た後に行われた。 対象は未治療の本態性高血圧患者18名である。ブドウ糖負荷試験により糖尿病でないことを確認した後、グルコースクランプ法(40mU/m^2/minのインスリンを2時間にわたって静脈内投与し、この間血糖値を空腹時血糖に維持するhyper insulinaemic euglycaemic clamp)を適用した。グルコールクランプの最終30分間のブドウ糖利用率(glucose disposal rate, GDR)をもってその個体のインスリン感受性とした。また、グルコースクランプ前後で血小板内カルシウム濃度をFura-2法による測定した。 高血圧患者ではGDRは6.59±2.50(mean±sd)mg/kg/minで、個体差の大きいことが示された。また、Fura-2法による血小板内Ca濃度は、グルコースクランプ前59.1±7.8nMで、GDRによって示されるインスリン感受性とは相関が認められなかった。また、グルコースクランプ後56.8±10.7mg/kg/minで、血小板内カルシウム濃度とGDRとの間に弱い負の相関を認めた(r=0.39,p<0.11)。一方、グルコースクランプ前後の血小板内カルシウム濃度の差(後-前)はブドウ糖利用率と有意な負の相関(r=-0.68,p<0.002)を示した。なお、グルコースクランプの対照として生理食塩水の注入を2時間行った時に血小板内カルシウム濃度は変化しなかった。 以上の成績から、Ca-ATPaseを介すると考えられるインスリンの細胞内Ca濃度低下作用はインスリン感受性の低下している者では低下していることが示された。すなわち、インスリン感受性の低下している者ではインスリンによる血管拡張作用にも抵抗性の存在することが示唆された。
|