1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07807188
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
斎藤 恵一 東北大学, 歯学部, 助手 (00178477)
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Keywords | 歯肉増殖症 / p53 / Ki-67 / EGF receptor / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
歯肉増殖症の患者8名(ニフェジピン3名、フェニトイン5名)から外科的に採取した増殖歯肉と2名の患者から得られたcontrol歯肉の凍結組織切片に酵素抗体法染色を行い、EGF receptor(EGFR)、変異型p53蛋白、Ki-67蛋白の発現を調べた。EGFRの発現は上皮の有棘層の一部と基底細胞層にみられたが、control歯肉の所見と大きな相違を認めなかった。変異型p53蛋白は増殖歯肉の上皮基底細胞と有棘細胞の核の一部にみられたが、control歯肉での発現は全くみられなっかった。この変異型p53蛋白の発現所見は癌組織に隣接する正常組織のmetaplasiaのある上皮や紫外線を照射した皮膚の表皮での変異型p53蛋白の発現所見に類似しており、増殖歯肉においても薬物によってmetaplasiaが誘発されている可能性が示唆された。さらに、Ki-67蛋白は増殖歯肉上皮の基底細胞層と有棘層の一部ならびに粘膜固有層の細胞の核に、control歯肉に比較して免疫組織化学的に有意に発現しているのが認められ、これもmetaplasiaの1つの徴候であると考えられた。 以上のことから、増殖歯肉におけるEGFR、変異型p53蛋白、Ki-67蛋白の発現を免疫組織化学的に調べてみると、偏平上皮癌あるいは前癌病変の白板症やBowen病において報告されているような弥漫性に発現している所見は認められなかった。しかし、薬物の影響によるmetaplasiaが増殖歯肉において誘発されていると推測され、歯肉増殖症は単なる歯周疾患とは違った病態を呈する疾患であると考えられた。遺伝子の変異について蛋白レベルで調べることは困難な場合もあるため、今後PCR-SSCP(plymerase chain reaction-single strand comformation polymorphism)法を用いて直接的にDNA sequenceの変異について調べる必要もあると考える。
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