Research Abstract |
1.サウンドスケープ及びサウンドスケープ・デザインの考え方の基づいて,文化情報施設の一つである図書館における音環境の実態と,音環境に対する図書館員の意義を調査した。調査対象は,山梨県と埼玉県の公立図書館(計131館)とした。調査方法として,質問紙を送付する社会調査法を用い,平成7年6月1日に各公立図書館に質問紙を発送し,6月30日を回収締切りとした。調査内容は,(1)図書館の設置されている場所の音環境と,(2)図書館の館内の音環境とに分かれる。(1)の調査項目は,図書館の設置されている場所及び設置形態,図書館の周辺の音の環境,図書館の館外からの音,及び館外からの音に対する騒音対策を含む。(2)の調査項目は,図書館の館内で発生する音,館内で発生する音に対する騒音対策,図書館における環境音楽(BGM),信号音(合図のための音),および視覚障害者のための音を用いた館内への導入・案内システムを含む。回収結果は,山梨県が回収率95.7%埼玉県が83.3%であった。調査結果を,(1)図書館の館外から聞こえる音と騒音対策,(2)図書館の館内から聞こえる音と騒音対策,(3)図書館における環境音楽(BGM),の三つの観点からまとめる。 2.先の調査対象の中から特に音環境に関心をもっている6館の図書館(山梨県2館、埼玉県4館)を選び,図書館利用者(来館者:計125名)に対しても,図書館の音環境に関するアンケート調査を,平成7年12月〜平成8年1月にかけて行った。調査内容は,図書館に望む音の環境,図書館の中でどのような音が聞こえるか,その音は騒音と感じられるものか、及び図書館の環境音楽(BGM)について等である。また,これらの図書館においては,騒音計による音響測定,音の採録及び録画を行った。この調査により,図書館の音環境に対する利用者の意義を明らかにし,先に行った調査から明らかになった図書館員の意義とを比較検討した。
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