Research Abstract |
1.サウンドスケープ及びサウンドスケープ・デザインの考え方に基づいて,図書館における音環境の実態と,音環境に対する図書館員の意識を調査した。前年度に埼玉県と山梨県の公立図書館を対象に調査を行った。また,図書館利用者の音環境に関する意識を明らかにし,図書館員の意識との比較検討を行った。 2.先の調査に基づいて,北海道,東京,神奈川,千葉,愛知,大阪,京都,滋賀,福岡,長崎,及び沖縄の11の都道府県の公立図書館(計1047館)を対象に,音環境の実態と図書館員の意識を質問紙により調査した。調査内容は,図書館の設置されている場所・設置形態,図書館周辺の音の環境,図書館の館外からの音と騒音対策,図書館の館内で発生する音と騒音対策,図書館における環境音楽(BGM),信号音(合図のための音),及び視覚障害者のための音を用いた館内導入・案内等のシステムである。平成8年5月28日に各公立図書館に質問紙を発送し,6月29日を回収締切りとした。回収結果は,73.7%であった。調査結果を,(1)望ましい図書館の音環境,(2)図書館の館外から聞こえる音と騒音対策,(3)図書館の館内から聞こえる音と騒音対策,及び(4)図書館における環境音楽,の観点からまとめる。調査対象を全国的な規模に広げたのは,各都道府県及び地域により図書館を取り巻く環境に違いがあること,図書館の音環境に対する考え方も地域により様々な見解があるからである。 3.次にケース・スタディを詳細に行った。これは,質問紙による調査では把握できなかった個別の図書館の事情を把握するためである。騒音計による音の測定,DATによる音の録音等を行う。また,図書館の利用者に,音環境に対する意識についてのアンケート調査を行う。調査方法として,来館する利用者の入館時に質問紙を手渡して回答を依頼し,退館時に記入済の質問紙を回収するという方法をとる。
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