1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07831003
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Research Institution | TOYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
広岡 公夫 富山大学, 理学部, 教授 (30029467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時枝 克安 島根大学, 総合理工学部, 教授 (90032599)
前川 要 富山大学, 人文学部, 助教授 (70229285)
宇野 隆夫 富山大学, 人文学部, 教授 (70115799)
酒井 英男 富山大学, 理学部, 助教授 (30134993)
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Keywords | 考古地磁気学 / 考古地磁気永年変化 / 考古地磁気年代推定法 / 地磁気方位の地域差 / 古地球磁場強度 / 熱残留磁化 |
Research Abstract |
考古地磁気学的研究は、主に遺跡に残されている焼土を伴う遺構から試料を得て、その熱残留磁化を測定して行われてきた。その結果、過去2,000年間の地球磁場の変動(考古地磁気永年変化)が相当な精度で明らかにされている。しかし、データが蓄積されてくるのにしたがって、日本列島内でも、同一時代で地域的に地球磁場方位に無視できない差異が存在することが明らかになってきた。考古地磁気年代推定は、永年変化曲線を用いて行われるので、地域差が直接推定年代値に影響を与えることになる。これを避けるためには、地域差を補正した地域毎の永年変化曲線を作る必要がある。本計研究計画の年度中に、出来るだけ多くの地域でその地域の永年変化曲線をつくることを目指したが、最近データの増加が著しい北陸地方の中世(西暦500〜1550年)と、従来からの古窯の考古地磁気データが多く、詳しい土器編年も行われている東海地方の中・近世(西暦900〜1700年)の補正永年変化曲線を得た。 今まで測定例が殆どなかった、北海道の10・11世紀のデータや、青森県からも2例のみであるが、須恵器窯のデータが得られたし、何よりも、相当数のデータが、韓国から得られたことは、東アジアの考古地磁気研究および、地磁気の地域差を考える上で大きな成果であった。 また、考古地磁気年代推定法のよく焼けた焼土遺構であれば遺構の種類を問わないという特徴を有しており、その特徴を生かして、最近、鉄生産に深い関連を持つ炭焼窯が北陸地方で数多く発見され、調査されているが、それに考古地磁気測定を適用したところ、従来から予想されていた奈良・平安初期のもの、近世・近代のもの以外に、12〜13世紀の中世にも相当数の炭焼窯が存在することが明かとなった。
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Research Products
(31 results)
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[Publications] 広岡公夫、田中るみ: "水南中窯跡の考古地磁気測定" 瀬戸市埋蔵文化財センター調査報告. 第10集. 121-129 (1995)
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[Publications] 広岡公夫、味喜大介、塩浜修一: "暁第3・4・5号窯跡の考古地磁気測定" 瀬戸市埋蔵文化財センター調査報告. 第9集. 270-275 (1995)
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[Publications] 広岡公夫、堀田暁子、田中彰子: "考古地磁気測定" 高槻市文化財調査報告書. 第19冊. 102-109 (1995)
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[Publications] 広岡公夫、田中彰子、景山久美子: "金沢城跡の考古地磁気測定" 石川県埋蔵文化財センター年報. 第15号. 119-127 (1995)
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[Publications] 広岡公夫、田中彰子、山田晃弘: "宮城県古川市倉ノ沢の中期更新統の古地磁気層序" 東北歴史資料館資料集. 39. 33-40 (1995)
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[Publications] 広岡公夫、景山久美子、田中彰子: "赤重窯の考古地磁気測定" 瀬戸市埋蔵文化財センター調査報告. 第12集. 26-33 (1996)
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[Publications] 広岡公夫: "日本における人類紀の古地磁気層序" 月刊地球. Vol.18. 279-285 (1996)
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[Publications] 広岡公夫、田中彰子: "調査資料の科学分析、-瓦窯SF501の考古地磁気年代-" 三重県埋蔵文化調査報告. 113. 80-82 (1996)
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[Publications] 広岡公夫、水上裕美、川浪英子: "江馬城館跡の焼土および池底推積物の考古地磁気測定" 「江馬氏城館跡II」. 付章1-20 (1996)
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[Publications] 広岡公夫、黒原秀夫: "結城市峯崎遺跡・鍛治炉の考古地磁気測定" 結城市文化財調査報告書. 第7集. 112-117 (1996)
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[Publications] 広岡公夫、青山修: "熊坂黒谷城跡・焼土遺構の考古地磁気測定" 加賀市埋蔵文化報告書. 第32集. 51-58 (1996)
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[Publications] 広岡公夫、水上裕美、川浪英子: "海陸庵・神明古窯址群の考古地磁気年代" 大府市文化財調査報告書. 第2集. 138-151 (1996)
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[Publications] 広岡公夫、森京子: "北野遺跡(第5次発掘調査)の考古地磁気年代" 三重県埋蔵文化財調査報告. 133-5. 35-41 (1996)
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[Publications] 広岡公夫、水上裕美、川浪英子: "考古地磁気測定" 「菅廻間古窯址群・大沢古窯址群調査報告」. 108-127 (1997)
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[Publications] 広岡公夫、堀田暁子、田中彰子: "品野西遺跡の考古地磁気測定" 瀬戸市埋蔵文化財センター調査報告. 第13集. 166-191 (1997)
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[Publications] 広岡公夫、水上裕美、川浪英子: "太子A窯跡の考古地磁気測定" 瀬戸市埋蔵文化財センター調査報告. 第15集. 107-112 (1997)
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[Publications] 広岡公夫、森京子: "江馬氏下館跡の焼土遺構の考古地磁気測定" 「江馬氏城館跡III、-下館跡南辺の調査-」. 141-153 (1997)
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[Publications] 広岡公夫、押野浩行、森京子: "道下遺跡・道下瓦窯の考古地磁気測定" 静岡県埋蔵文化財調査研究所調査報告. 第93集. 31-38 (1997)
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[Publications] 広岡公夫、水上裕美、川浪英子、林謙作: "札幌市K39遺跡大木地点、長谷工地点の考古地磁気測定" 札幌市文化財調査報告書. 55. 159-169 (1997)
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[Publications] 広岡公夫、水上裕美: "大原5号窯の考古地磁気年代" 多治見市埋蔵文化財発堀調査報告書. 第48号. 19-27 (1997)
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[Publications] 酒井英男、前川要、宇野隆夫: "福島城遺跡および十三湊遺跡における電気探査" 国立歴史民俗博物館研究所報告. 第64. 137-142 (1995)
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[Publications] 宇野隆夫: "西洋造船海運史(上)" 富山大学人文学部紀要. 第25号. 55-122 (1996)
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[Publications] 宇野隆夫: "西洋造船海運史(中)" 富山大学人文学部紀要. 第27号. 65-125 (1997)
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[Publications] 宇野隆夫: "中世食文化の諸相 中世食器様式の意味するもの、-計量分析による使用法の復元-" 国立歴史民俗博物館研究所報告. 第71集. 377-433 (1997)
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[Publications] Ito,H., Yoon,Son and Tokieda,K.: "Archomagnetjc datlng of a kiln having side fire doors in Kumdan-ri ruin,Kyougju,Korea." Bulletin of Pusan National University Museum. Vol.17. 460-468 (1995)
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[Publications] 広岡公夫(共著): "考古資料分析法(考古学ライブラリー、65)" ニュー・サイエンス社, 127 (1995)
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[Publications] 広岡公夫(共著): "新版地学事典" 平凡社, 1443 (1996)
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[Publications] 北陸中世土器研究会編: "「中・近世の北陸、-考古学が語る社会史-」" 桂書房, 600 (1997)
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[Publications] 前田要、大平愛子、中田書矢編: "「江馬氏城館跡、-下館跡発堀調査報告書1-」" 神岡町教育委員会・富山大学人文学部考古学研究室, 187 (1995)
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[Publications] 宇野隆夫、大平愛子編: "「江馬氏城館跡II、-下館跡門前地区と庭園の調査-」" 神岡町教育委員会・富山大学人文学部考古学研究室, 189 (1996)
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[Publications] 前川要、大平愛子、中田書矢編: "「江馬氏城館跡III、-下館跡南辺の調査-」" 神岡町教育委員会・富山大学人文学部考古学研究室, 215 (1997)