1996 Fiscal Year Annual Research Report
肉食性腹足類の種内および種間関係-窃盗寄生を中心として
Project/Area Number |
07836014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Section | 時限 |
Research Institution | Osaka International College |
Principal Investigator |
阿部 直哉 大阪国際女子短期大学, 国際文化学科, 助教授 (20222656)
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Keywords | 種間関係 / 窃盗寄生 / 海洋生態学 / 瀬間帯 / タイドプール / 腹足類 / アクキガイ類 / ヒバリガイモドキ |
Research Abstract |
平成7年度に完成した水中ビデオ撮影装置を用いたヒバリガイモドキをめぐるアクキガイ類の行動観察を平成8年5月および8月に200時間以上にわたり、和歌山県白浜町番所崎においてを行った。浅いタイドプール中でヒバリガイモドキ摂食中のシマレイシガイダマシ(以下、シマと略記)にカメラをセットし、その後の過程をタイムラプスビデオに記録した。シマの摂食が進むとイボニシ(以下、イボと略記)、ヒメヨウラクガイ(以下、ヒメと略記)などが集まり、シマレイシガイダマシとの間で干渉行動が起きる場面を記録できた。また、8月にはタイドプール中に多く見られたクサフグがシマが摂食中のヒバリガイモドキ奪い取っていく場面が数例見られた。これらの詳しい解析は現在行っているところである。 平成7年度に窃盗寄生が奇主、宿主に与える影響を調べるための実験をシマとヒメについて行い、ヒメの成長がシマの存在下で高まること、一方シマの成長はヒメの影響を受けず、しかしシマの摂食率が高まることなどが明らかとなった。本年度はそれにイボニシC型を加えた実験を平成8年5〜8月に行った。これまでの研究からイボは自らヒバリガイモドキを捕食すると同時にシマの餌を横取りすると考えている。この実験の結果、シマの成長はイボの存在に影響されず、イボの成長はシマの存在下で高まれことが確かめられた。一方、ヒメとイボを組み合わせた場合は、ヒメがイボを捕食してしまう。同様の現象はヒメとシマの組み合わせでもしばしば見られ、ヒメは窃盗寄生者としてだけでなく、多の巻貝の捕食者としても作用していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)