1995 Fiscal Year Annual Research Report
「1980年代」のアフリカ系アメリカ人運動に関する多角的研究
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07851044
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
大類 久恵 城西国際大学, 人文学部, 講師 (10245326)
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Keywords | 公民権運動 / ブラック・ナショナリズム |
Research Abstract |
本研究は、「1960年代」のアフリカ系アメリカ人運動をより多角的にとらえるための試みとして、当時の新聞記事の分析をもとに「大衆」の視点からの再論を行い、「大衆」の認識の変遷を通して、この運動に関する従来の歴史的位置づけを検証することを目的とした。今年度は、まず公民権運動の発端となったモントゴメリ-でのバスボイコット(1955年12月)に対する南部における反響を分析する手段として、『アトランタ・コンスティテュート紙』の1955年から1959年までの記事を収集し、イメージスキャナを用いてそれらを資料化した。次に資料化した記事を分析する手段として、当時の公民権運動の根幹に関わるキーワード(たとえば、NAACP、black、race、segregation、mixなど)の使用頻度および時間的にみたその推移を、文章解析ソフトにあるマイクロOCPを用いて明らかにした。現在、この結果をもとに、南部の大都市アトランタにおける人種関係特に同じ南部の都市モントゴメリ-で始まった運動の影響の波及状況が新聞を通して、どのように「大衆」に報じられていったか、換言すれば、後にアトランタにおける運動の担い手となる「大衆」がいかにバスボイコットを認識していったかを分析している。将来的な研究の展望としては、1960年以降の同紙の資料化と並行して、南部に始まった公民権運動の影響の北部への波及状況を分析するために、ニューヨーク、シカゴ、デトロイト、ワシントンDCを本拠地とする新聞の記事の資料化をも行う。その上で、公民権運動がブラック・ナショナリズム運動に移行していく過程を、新聞という「大衆」を実体化するための手段を通して再検討する。
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