1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07854018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西岡 志道 九州大学, 工学部, 助手 (60253499)
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Keywords | 低次元構造 / カルコゲン化物 / 電気的性質 |
Research Abstract |
2次元的構造を有する.以下の3種のカルコゲン化物において高温超伝導の候補物質を探索した. 1.BaNiS_2:焼結体を作製した.室温で,2次元面内方向の抵抗率:ρ_〓〜10^<-3>Ω・cm,面垂直方向の抵抗率:ρ^⊥〜10^0Ω・cmでいずれも金属的な温度依存性を示す.キャリア種はホール係数,ゼ-ベック係数の値からホールである.ゼ-ベック係数の振るまいは,200K付近で銅酸化物超伝導体に似たブロードなピークを示す.Baサイトを一部置換した物質,(Ba_<1-x>Bi_x)NiS_2(0≦x≦0.1)を作製し,x=0.07においてρ_〓が200Kで抵抗率が極大を示すという異常を見いだした. 2.BaCu_4S_3:焼結体を作製した.室温でρ_〓〜10^<-2>Ω・cm,ρ_⊥〜10^2Ω・cmであり,基本的に金属的温度依存性を示す.ρ_〓のみに,150K付近で抵抗率が極大を示すというヒステリシスを伴う大きな異常を見いだした.キャリア種はゼ-ベック係数の符号からホールである.Baサイトを一部置換した物質(Ba_<1-x>K_x)Cu_4S_3(0≦x≦1)を作製し,K固溶域はx≦0.1であること,x増大とともに抵抗率は減少し,ρ異常が抑圧される傾向を示すことを見いだした. 3.CuFeTe_2:単結晶を作製した.抵抗率は,室温でρ_〓〜10^<-3>Ω・cm,ρ_⊥〜10^1Ω・cn,ρ_〓の温度依存性はエネルギーギャップ0.11eVの半導体的振るまいを示す.キャリア種はホール係数の値は正,ゼ-ベック係数は負と異なっており,複数のキャリアが伝導に寄与しているものと思われる. 上記物質1.2.3.とも現在のところ4.2K以上では超伝導転移は見いだしていない.特に物質1.2.については,銅酸化物超伝導体と同様な3d^9状態が導入されることで電気的性質の異常な振るまいに変化を生じている.
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