1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝内胆管上皮細胞培養系を用いた胆道閉鎖症での胆管発生機序の解析
Project/Area Number |
07857048
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
虻川 大樹 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (90240663)
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Keywords | 胆管上皮細胞 / 細胞培養 / 胆道閉鎖症 |
Research Abstract |
今回我々は,少量のヒト肝組織から肝内胆管上皮細胞を分離・培養することにより胆道閉鎖症における胆管上皮細胞の性質やその異常をin vitroで検討することを計画した。まず予備実験としてラット肝からの胆管上皮細胞の単離および培養を行ったが,従来報告されていた潅流消化後のPercoll溶液による遠心分離法では細胞の回収,viabilityとも不良なため,collagen-coated dish上で培養しても胆管上皮細胞の生着がみられなかった。またモノクローナル抗体を用いたイムノビーズ法によっても胆管上皮細胞を十分に回収することはできず,よってこれらの方法により少量のヒト肝組織から胆管上皮細胞を分離・培養することは不可能と判断した。そこでラット肝をcollagenase溶液で潅流・消化したのち肝実質細胞を除去して“portal tree"を作製し、そのままcollagen gelにてpre-cultureを行う方法に変更した(Okamoto et al, Hepatology 1995)。この方法では約1週間後にgelごと消化して線維芽細胞を除去することにより胆管上皮細胞のviabilityを保ったまま単層培養することが可能となった。 次にヒト肝組織への応用として、肝移植レシピエントの摘出肝の一部を用いて肝管上皮細胞分離を試みた(東北大学医学部第3内科・真野浩先生との共同実験)。この場合肝組織は十分量入手可能であるが,collagenase溶液による潅流・消化が不可能であるため、肝組織から肝実質細胞を機械的に剥離して“portal tree"を作製した。しかし今回の患児が肝道閉鎖症術後肝硬変であったため肝組織中の線維増生が著しく,ラットのように十分な“portal tree"が得られず,胆管上皮細胞の単離は不成功に終わった。今後は組織消化を工夫して,肝移植レシピエントの摘出肝,さらにはより少量の胆道閉鎖症初回根治術時肝生検組織からヒト胆管上皮細胞を分離培養し,in vitroで患児胆管上皮細胞の性質や各種の成長因子に対する反応を調べる予定である。
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