1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07857067
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
藤田 憲一 杏林大学, 医学部, 助手 (10241001)
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Keywords | Event-related potential / Mismatch negativity / Automatic processing / Dementia |
Research Abstract |
痴呆老人では、意識的処理過程のみならず自動的処理過程にも障害があると推測されるが、生理学的な検討はまだほとんど行われていない。今回、加齢および痴呆が聴覚入力の自動的処理過程におよぼす影響を検討する目的で、健康成人22例、健康老人14例、アルツハイマー型痴呆患者21例、脳血管性痴呆患者26例の事象関連電位(MMN, P300)を記録し比較検討した。また、MMS(Mini-mental state examination)をすべての群に施行し、MMNの振幅、潜時とこのMMSの下位項目との相関を調べた。 結果 1. MMNの潜時、振幅の比較 頂点潜時に関しては、健康老人およびアルツハイマー型痴呆患者が健康成人より有意に延長していた。頂点電位については健康成人が脳血管性痴呆患者より有意に高振幅となっていた。 2. P. 300の総加算波形の比較 P300の頂点潜時は、高齢者(痴呆を含む)は健康成人より有意に延長していた。ただし頂点電位に関しては、4群間で有意の差は認めなかった。 3. MMS(Mini mental stat examinion)下位項目とMMNの相関 MMN頂点潜時は見当識や物品名の想起など短期の記憶を反映すると考えられる項目との間に高い負の相関が見られた。 以上の結果より、たとえ痴呆がなくても老人では、自動的弁別過程の速度が遅延することが示された。またMMNとMMS下位項目との関連を検討した結果、MMN頂点潜時は短期の意識的記憶および自動的記憶の能力を反映すると考えられる項目との間に高い負の相関がみられた。このことはMMNが反映するとされる心理的過程に関する仮説を支持するとともにMMN、とくに頂点潜時が痴呆の測定に有用であることを示すものと考えられた。
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Research Products
(1 results)